みんな・愛してるよ
第88章 第八十八話 好敵手(ライバル)
だから明日朝早起きして作れば良い。
「優ちゃんどうしたの? 何だか機嫌悪いみたい」
その日は醇ちゃんが泊まりに来た時の為に二段ベットになってる僕のお部屋で四人川の字になって寝たんだ。
「優ちゃん。起きてる? 」暗闇で醇ちゃんの声が聞こえる。
「起きてるよ。どうしたの? 寝れない? 」優しく問い返す。
「あのさ、その、優ちゃん健兄ちゃんと付き合ってるって本当? 」心臓が跳ね上がる。
バレンタインの時二人にチョコを渡した時とはちょっと違うドキドキ。
何だか不安で怖くて凄く寂しくなるようなドキドキ。
「うん。健吾と靖隆と付き合ってる」何となく声が沈む。
醇ちゃんに黙ってた後ろめたさもあるけど、それ以上に嫌な予感がしてたんだ。
「今まで言ってなかったんだけど僕も健兄ちゃんずっとずっと昔から好きだったんだ」嫌な予感は的中する確立が高い。
今回も的中。
(でも、僕も健吾の事大好きだもん。いくら醇ちゃんでもそれだけは譲れない)
「優ちゃん怒った? 」悲しげな声が隣から聞こえる。
「いや。怒ってないよ。ただ吃驚しただけ」気持ちの中では凄くハラハラで怖くて寂しい。
健吾がもし僕から離れて醇ちゃんと一緒に居たらって考えるだけで涙が出そう。
「優ちゃんにだけは知ってて欲しかったから……おやすみ」
暫く時間が経つと隣から規則正しい寝息が聞こえ始めて、僕の長い夜が終わりを告げた。
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