みんな・愛してるよ
第85章 第八十五話 涙と大嫌いチョコレートのバレンタイン!
光啓兄ちゃんの家に着くとお兄ちゃんを独占して台所に立つ。
帰り道お兄ちゃんにお金借りて板チョコを買ってきた。
初めてのチョコレート作り。
うまく出来るかな?
綺麗に出来るかな?
先輩達喜んでくれるかな?
今でも涙が浮き上がってくる。
袖口で乱暴に拭いながら必死にお兄ちゃんが教えてくれる通りに全部自分でこなしていく。
包丁も危ないから代わりにしてあげるって言われたけど断った。
初めての本命チョコレートなんだから自分で作りたい。
板チョコをまな板の上に乗せ、包丁で千切りにしていく。
お兄ちゃんが言うにはこの時出来る限り細く切るようにしないと溶けるまでに時間が掛かっちゃうんだって。
僕なりに頑張って細く細く切っていく。
一枚切り終わる頃には一時間過ぎてた。
それでもまだ手を付けてないチョコは二枚もある。
頑張らなきゃ!
必死に終わらせたら、次は溶かす作業に入る。
お鍋でお湯を沸かしてそこにガラス製耐熱ボールって言ってた。を置き、ボールの中にさっきまで切ってたチョコレートを入れる。
後は綺麗に溶けるまでひたすらヘラで混ぜるの。
その後は平べったい銀色のケースにバターを塗って溶かしたチョコレートを入れて綺麗に全体に行き届くように伸ばす。
その後は冷蔵庫で固めると、明日の朝には平べったいだけのチョコレートの完成。
明日朝早くから型でチョコレートを抜いてデコレーションしてラッピングしたら僕の初めて作った手作りチョコの出来上がり。
これで、みんなも作れるよね?
間違っても千切りにしたチョコレートをフライパンで炒めたりしたら駄目だよ?
夜中過ぎにトイレで目が覚める。
静かで真っ暗な廊下を壁伝いに進んでいくとすすり泣いてる様なお兄ちゃんの声が聞こえてきた。
「光啓…も……や…いか………て」光啓兄ちゃんとお兄ちゃんが何かしてるみたい。
気にせずにトイレに行こうとする僕の視界に一つのドアから橙色の光が漏れてる。
何となく近付いていくとドアの向こうにはお兄ちゃんと光啓兄ちゃんが居た。
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