みんな・愛してるよ
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成人向アフィリエイトOK
発行者:カオス
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ジャンル:恋愛
シリーズ:大好きだよ

公開開始日:2010/07/21
最終更新日:2012/03/12 22:53

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みんな・愛してるよ 第76章 第七十六話 ごめんなさい
「おじさんこんばんわ。遊びに来てたら具合悪くなっちゃって。寝ちゃってたみたい。優夜お父さんありがとう。これ上着でしょ? 」優夜お父さんの膝の上にある紙袋に手を伸ばすと乾いた音が響く。
頬に走る痛みで自分が叩かれた事に気付く。
「どれだけ心配して皆走り回ったと思ってる! 僕たちだけじゃない! 国久や康宏と光啓に醇斗君までどれだけの人が心配して優輔探したと思う! 交通事故にあったんじゃないかとか何か事件に巻き込まれたんじゃないか不安で胸が苦しくて不安で……」初めて見た優夜お父さんの涙。
紙袋をお兄ちゃんに渡すとおじさんに向き直り頭を下げる。
「お見苦しい所見せてしまって申し訳ございません。あと、お嬢さんに看病してもらったみたいで。ご迷惑まで……」
「お気になさらずに。家の子も両親出掛けてる事が多いので寂しい思いもさせてしまってますし、もしご迷惑でないならこれからも遊んでやってください」微笑みながら優夜お父さんに答え、僕を見る。
「優輔君かな? よく琴美から話は聞いてるよ。これからも仲良くしてやってね? それと、琴美! ちゃんと優輔君のご両親に連絡しなきゃ駄目だろ? 」琴美ちゃんの横まで行くと優しく頭を撫でてた。
優夜お父さんを見るとゆっくり頷《うなず》く。
「ちがっ! 」何か言い始める琴美ちゃんに僕が叫ぶ。
「琴美ちゃんまた明日ね」ゆっくり首を横に振りながら。
言っちゃ駄目って振り続ける。
「そうだ! マフラー頂戴? 貸してたでしょ? 」琴美ちゃんの隣まで行くと耳の近くで琴美ちゃんだけに聞こえるように囁く。
「本当の事言ったらもう口聞かないからね」多分優夜お父さんが頷いてた事はこの事だと思う。
ちゃんと女の子は守れって。
その後はマフラーを返してもらって暗い電灯だけ光る道を歩いて帰る。
「優輔。これからちゃんと連絡しなさい。僕でも克俊でも亮輔でもいい。どんなに忙しくってもちゃんと出るから。いいね? 」ふと止まる車椅子。
「うん。わかった」まだ頬がジンジン痛むけど、そのまま伸ばしてくれた優夜お父さんの腕の中に飛び込む。
「無事でよかった。本当に心配だったんだからね。こんな事もう無い様にしてよね」ゆっくり僕の体が持ち上がって優夜お父さんの膝の上に乗せられる。
力一杯抱かれたまま車椅子は家に向かって再び進み始めた。
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