みんな・愛してるよ
第66章 第六十六話 優夜の子育て日記その7 お正月ver.その弐
「優夜兄ちゃんどうかしたの? 」半信半疑のまま用事を聞いてくれる克俊。
(やっぱり克俊は優しいよぉー)
顔の前で手を合わせお願いのポーズを取りながら何とか頼んでみる事にする。
「突然で悪いんだけど、夜に会社の人たちが来るらしくて子供とか来たら相手してあげてくれない? 」お小遣いあげるからと付け足すことも忘れない。
(今回の克俊のお小遣い分は亮輔のお小遣いから天引(てんび)きしてやる! )
「おっけー。でも、夜だったら優夜兄ちゃん一人じゃ料理間に合わないでしょ? おばあちゃんや康宏兄ちゃんにも頼んで来ようか? 」確かに僕一人じゃ絶対間に合わない。
背に腹は替えられないというし仕方ない。
母さんと康宏に伝えてもらって僕はそのまま台所へと引き上げる。
洗い物とか気にする時間は無く僕はお財布だけ持つと克俊と光啓を呼ぶ。
「なに? 材料底付いちゃうの? 」克俊も彼氏を近々招く為に毎日冷蔵庫の中身を確認してる。
当然今の冷蔵庫は中身が空っぽ。
冷蔵庫が空っぽなら作れる種類も少ない。
高いか安いかなんて選んでたら間に合いはしないのだ!
近くのメモ帳にすばやく材料を書ていく。
「ごめん。冷蔵庫もう空っぽだから買い物を克俊と光啓に頼みたいんだけど良いかな? おつりはそのまま貰っていいから」材料のメモとお財布から三万出して克俊に手渡す。
「いいよ。光啓。一緒買い物行こう」光啓を呼びに廊下へと続くリビングを抜けそのまま二人は買い物に出掛けた。
家では休む暇など無くせっせと手を動かす。
何とか克俊たちが買って来てくれたおかげで切り抜けられ、数日分の材料も確保した。
会社の人たちが連れてきた子供達も克俊と光啓で手分けしながら面倒見てくれて元旦という一番大変な日は何とか難を逃れる。
当然の事ながら三人の大人と二人の子供は会社の人が帰った直後からコタツで横になったのは言うまでもない。
亮輔とお父さんと国久はお客さんを見送った後も三人でお酒を飲んでた。
お客さんで来て手伝ってくれた皆に感謝しつつその日の僕はそのまま眠りにつく。
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