みんな・愛してるよ
第31章 第三十一話 誤解
僕も亮輔に一礼してそっと社長室の隣にある秘書室へと戻っていった。
ここ最近は亮輔とすれ違いばかり。
凄く寂しくて辛くて悲しくて、やるせない気持ち一杯だけど、社長の肩書きが重く圧し掛かってる亮輔と比べれば僕のやるせなさ位大した事じゃない。
「社長どうだった? ここ一ヶ月位何か悩んでいたみたいだけど優夜君は何か知ってる? 」同僚で先輩の女性秘書が話しかけてきた。
「家では普通ですよ。一ヶ月位ですか? 何があったんでしょうね? 僕も詳しい事はわかりません。すみません」先輩に頭を下げ、そのまま自分のデスクに着き仕事を始める。
(一ヶ月位って丁度お見合いの話があった時位か。悩んでる理由なんて知ってる。だけど玉の輿狙ってるのが丸見えな先輩に教えてやるものか! 亮輔が自分で決めなきゃ駄目なんだからお前に言ったらますます亮輔悩んじゃう! )
口を硬く閉ざし、ひたすらに仕事を片付けていく。
僕が秘書になってからお茶出しや書類を届けるのも亮輔の一存で僕一人が社長室に出入りしてる始末。
他の人が向かおうものなら亮輔が自分から秘書室に飛び込んできて僕のデスクにある仕事道具を掻っ攫い社長室に持って行き、僕一人だけ社長室出勤にされた事もある。何とか僕が頼み込んで秘書室には戻してくれたけど、それから僕以外の秘書が社長室に入る事は出来なくなってしまった。
お昼休みの時間になり周りの先輩たちはそれぞれ外に食べに行く。
皆が居なくならないと二人だけでお弁当食べれないから皆が出て行くまで僕は仕事を続け、誰も居なくなったのを確認してから二人分のお弁当を社長室へと持ち込むのだった。
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