メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください -
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発行者:海原 灯
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:メトセラの仲間たち

公開開始日:2013/07/18
最終更新日:---

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メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください - 第9章 デュマの復讐
『あのー、私、ここの受付をやってる者なんですけどぉ、アトリエの窓、開けてくださいませんか!? 立てつけが悪くって、どうしても女のあたしの手じゃ、開けられないんですぅ。中の空気を入れ替えたいんですぅ。お願いしまぁす』
 猫撫で声で、そう男に頼み込むと、ニコッと、悪気のない笑顔を覗かせた。
 デュマは、物が触れない。直接手を下せないものだから、人の手を借りるしかない。
 酒を飲んで、酔っ払っていた男は、か弱い女性に頼みこまれたことに、さして疑いを差し挟むでもなく、照れたように、
『おっ!? おぉ、…はいはい、どうぞどうぞ』
と快く、少々手こずったが、ガコンッと音を鳴らして、窓を全開にしてやった。
『ありがとうございますー』
『いやいや、これしき』
 お役に立てて光栄です…と、和やかに手を振って別れた後、…悲劇は起こった。
 窓から入り込んだ風で、床へと落ちてしまった葉巻の残り火が、部屋へと燃え移ってしまったのだ。最初は、イスやテーブルにかけられたレースの布に引火し、燃え広がった炎は、やがて木造の床や天上をなめつくし、煙が室内の温度を上げ、至る所で炎が吹き出し始めた。
 保管されていた絵や、壁にかけられた絵も、ことごとく炎の餌食となっていく。
────────── …いい気味だわ。
 それから数時間後、目の前で、燃え上がる炎の柱を見上げて、呆然と立ち尽くすサマンドを見て、デュマは勝ち誇ったように、嬉し涙を浮かべて哂った。
 すべてを、失ってしまえば良い。
 あたしと同じように。
 あなたの影が死んだのよ。あなただけが、幸せに生きているのって、不公平じゃない!?
 ねぇ、サマンド…。
「…どうにかならないの!?」
 焦燥感から、アルファロに縋り付くセリエルだったが、無理だ…と、首を横に振られ、落胆した。
 周りにある雪をかき集めて消化にあたったところで、たかが知れてる。バケツに汲んできた水を、炎へとかけている者がいるが、焼け石に水で、たいして鎮火はしていない。
 結局、なす術がなく…、アトリエは焼失してしまった。
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