メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください -
メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください -
完結アフィリエイトOK
発行者:海原 灯
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:恋愛
シリーズ:メトセラの仲間たち

公開開始日:2013/07/18
最終更新日:---

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください - 第8章 ルディアンの杞憂
「風景画専門なんだよね!? 彼女の絵、一度見てみたいな」
 アトリエの場所を教えてくれ…と、ルディアンがアルファロに頼むのを耳にしながら、マイラは、またホットコーヒーを煎れ直した。
 今日は、いつもより少し寒いけど…、嫌じゃない。むしろ、なんだか、…気持ちだけは、温かい。ルディアンのせいなんだろうか…と、ちょっと嫌そうに、アルファロと話し込む彼の横顔を見るが、率直な物言いは、それだけ裏表のない人間性を晒してるのだろうか。それだけは、マイラにとっても、心地よい関係であり得た。
 言い寄ってくる、どの男性よりも、はるかにマシだと…。その、素直さだけは。
 リューリアよりは、劣るけれどね。
 クスッと笑い、小さな幸せを噛み締めながら、遠い過去を見つめた。
 立場の違いから、別れざるを得なかった、レイリアとリューリア。しかも、6歳の年の差があり、レイリアの方が年上だった。王城は、派閥争いをする者同士の諍いで、混乱を極めていたし…。別れるしか、なかった。
 互いに、トップを補佐する立場にあり、それ以上の親密さは、共倒れの危機すらはらんでいた…。一方は、支えるトップが死に、落ちぶれていくレムディの奏者レイリア。もう一方は、敵を死に追い落とし、これから全盛期を迎えようとしていた者…その人間を一番近くで支える補佐官…詩家でもあったリューリア。2人が結婚まで至るには、障害があまりにも多すぎた。
 あの時代に比べれば、今の身分制度…差別は、まだマシ。立場が違っても、昔ほど、ひどい境遇には陥らず、頑張れば、結ばれることもできるだろう。
 敵同士ではなく、もっと遅くに出会ってれば、あの2人は、…添い遂げられただろうか。
 それを想うほどに、切なくなって、マイラは目を伏せた。サマンドからもらった青いノート…リューリアの残した詩が目につくと、懐かしさが増し、哀しく微笑む。
────────── あなたの詩は、時を越えても、…やっぱり、ロマンチックすぎるわね。…まるで、乙女みたい。
 それだけに、辛辣な敵方に嫌々仕えていた彼の心情を想うほどに、笑いがこみ上げてきたものだった。
 マイラは1人、フフ…と、笑って、試しに作ってみたオレンジケーキを、2人の友人の前に差し出した。
「サービス」
 ニコッと笑って言うが、実は、単なる味見だった。この2人が美味いと言えば、成功だ。
64
最初 前へ 61626364656667 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ