メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください -
第1章 キラキラを探してください
「子供の相手は、苦手か!?」
重く沈んだ表情で、椅子に腰を下ろしたアルファロだったが、前髪をかき上げると、気持ちを切り替え、少し笑って…、聞かれたことに答える。
「子供じゃ、ないですから…」
なんじゃと!?
オルレイン伯爵は、一瞬、聞き間違えたかと思ったが、次の言葉を発する前に、アルファロに先手を打たれてしまった。
「あいつのことは…、セリエル、彼女のことは、それ以上は聞かないでくださいませんか」
真意を推し量れず、オルレイン伯爵はフッと姿を消すと、今度はアルファロのすぐ横に現れた。
そうして、ジィッと、アルファロの顔を覗き込む。
「…!? なんですか!?」
微妙に身を引くアルファロだったが、よく見ると、顔も赤く、なにやら、ひどく…、側に近寄ると、冷気が漂ってくるのに気づいて、オルレイン伯爵は、目を細めた。
「…一晩中、外に、あの娘を捜しに行っとったんじゃな…。そんなに心配なら、なんで、キツく当たるんじゃ!? 優しくしてやれば良かろう」
昔から知ってる間柄だけに、アルファロの取る行動は、伯爵には容易に推測できたが、少女への接し方が、今ひとつ理解できない。
「どういう娘じゃ!? …話してくれんと、ワシも協力できんぞ。訳があるだろうに、あの娘に嫌われるのは、お前さんも辛いじゃろう!?」
だが、アルファロは俯いたまま首を横に振ると、
「すみません。今は…、答えられません」
とだけ返答するだけで、少女と一緒にいることを説明することはなかった。
伯爵は落胆し、溜息をついた。
ワシにも話せん事情とは…。
「昔から…、お前さんは、不器用じゃったな」
昔人間のワシですら、もうちょっと頭が丸いぞ、とボヤきながら、オルレイン伯爵は、またフッと姿を消した。今度は、本当に、屋敷から去ってしまったらしい。しばらくしても、出てくる気配は感じられず、アルファロは、深く溜息をつきながら、やっとソファに腰かけた。
ここに来て、早一週間あまり経つだろうか。
セリエルも戻ってきた。
オルレイン伯爵とも、再会できた。
やっと…、本当に、この家に、この町に、戻ってきたんだな…と、実感が伴いながら。
そこへ、キッチンから戻ってきたセリエルが、テーブルの前までやって来ると、ニコリともせず、手にしていた皿とコーヒーカップをアルファロの目の前に置いた。
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