メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください -
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発行者:海原 灯
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:メトセラの仲間たち

公開開始日:2013/07/18
最終更新日:---

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メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください - 第8章 ルディアンの杞憂
「あら、あたしは水曜かしら。山で愉しんだ翌日は、何やっても楽しいんだけれど、週の半ばまでくるとね、かったるいっていうか、暇なのよねぇ。だから、そういう時に、新作ケーキとか、ショーウインドに出して、お客呼んじゃうんだけど」
 調子の良い時は、何もしなくてもお客が来て、忙しいしね…と、各々、好き勝手に話すメンバーに、サマンドは苦笑しながら、鞄から、茶色い包み紙を取り出し、マイラへと手渡した。
「木曜が良いのはお前だけな。オレは、火曜か水曜だ。オレは、たまにしか寄らないけど、一応メンバーにされてる。まぁ、宜しく。あ、あの絵。書斎に飾らせてもらってるよ。良い絵だ」
 アルファロに褒められて、自分の絵が大事に飾られてるのだと分かると、サマンドの笑顔が一段と眩しくなった。
「嬉しいわ。ありがとう。あたしは、土曜かな。平日外をウロつき回ってるから、週末には腰を落ち着けたくなるのよね。今度、木曜にお邪魔させていただくわ。読みたい本、溜まってるんだけど、家にいると、読書って気分にはならないのよね。これから、宜しく」
 アルファロが、先にサマンドと知り合っていたことを意外に思いながら、受け取った包み紙を、中を開いてみて、マイラの瞳が輝いた。
「うわっ、これ…」
 その嬉しそうな驚きの声に、ルディアンが反応した。マイラの手の中には、青い手作り風のノートが数冊あった。
 よく見ると、旧時代の詩家の手書きの詩が印字された長細い短冊が、表紙に貼りつけられている。
「仕事先の知り合いが、スーパーでフェアをやっててね。足を運んだ記念にって、好きな物をくださったのよ。ちょうどそれが目について。よく見たら、リューリアの詩って、説明書に書いてあったから。あなたへのお土産にしようと思って、いただいてきちゃった。貰い物だから、気にしないで」
 リューリアという名を耳にして、ルディアンが目を丸くした。
「リューリアって…、あの、東のテールーン王城で、昔有名だったっていう、政権の中枢にいた、詩家の人!?」
「うん、そうそう。その人。マイラが好きなんですって」
「やっ、サマンド! それ、言わないでったら!!」
 慌てて、口止めをしようとするマイラだが、もう遅い。全員が、聞いてしまった後だ。バツが悪そうに、顔を赤くして、ノートを胸に抱くマイラを、サマンドが、口に手を当てて、見る。
「あ、ごめんなさい。秘密だったの!?」
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