メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください -
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発行者:海原 灯
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:メトセラの仲間たち

公開開始日:2013/07/18
最終更新日:---

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メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください - 第8章 ルディアンの杞憂
 マイラは、少し宙を見据え、何事かを思案してる様子だったが、すぐにおかしそうに笑うと、首を横に振った。
「その質問はナンセンスだわ。だって、彼…、すでに位の高い人だもの」
 肝心のマイラの反応が、これだ。
「…え、貴族!?」
 ていうか、本当にいるの、恋人!? …さすがに、これは面と向かって聞けない。こんな言い方では…。
「そうね。一般的には」
「じゃ、彼はいつ、あなたを迎えに来るの!?」
「来ないわ」
 肩すかしをくらって、ルディアンは、マイラには恋人はいない説に力を得て、ホッとしたような笑みを浮かべた。
「じゃ、それって、ただの片想いじゃない」
「そうね…、そうかもね。んもぉ、この話はここまでにして。それでも良いの。あたしは、彼が好きなの。放っておいて」
 一瞬、沈んだ表情を見せたマイラに、いけないことを聞いてしまったと、後悔したが、
「遠いところにいるのよ。すぐには帰ってこれないほど、遠くに…」
そう言って、視線を落としたマイラの、少し寂しそうな横顔を見て、ルディアンは、その男に、少なからず怒りを覚えた。
 嫉妬という言葉ではなく、怒り、そのものだ。
 マイラの気持ちに、気づいてないだなんて、一体どんな男なんだ!? それとも、知ってて、袖に振ったのか!?
 本当に好きな相手が存在してるのかもしれないと思うと、腹立たしさと、諦めきれない想いとが交差した。好意を抱いていただけに、ショックだ。そうして、気持ちを誤魔化すかのように、コーヒーカップに手を伸ばす。
「あ、お砂糖入れてないわよ」
「…ん。いい」
 いつもは、ブラックの苦手なルディアンだのに、この時ばかりは、砂糖を入れずに飲みたい気分だった。
 栗色の前髪の奥で、物憂げに沈む瞳を、カウンター越しに見つめるマイラの、躊躇うような視線など気にもとめず、ルディアンは一気に半分ほど、コーヒーを飲み干した。
「オレなら、あなたを一緒に連れてくけどな…」
 ヤケクソの一言だったのだが、その言葉が嬉しかったのか、マイラ自身が釈明したかっただけなのか…、彼女は少しして、こう漏らすと、奥の部屋へとオレンジを取りに消える。
「もし…、彼が、ずっと位の低い人か、貴族ですらなかったとしたら…、それでも、好きになったと思う」
 環境や、お互いの立場が変わっても、あたしのことが好きだって言ってくれたならね…と、付け足して。
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