メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください -
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発行者:海原 灯
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:メトセラの仲間たち

公開開始日:2013/07/18
最終更新日:---

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メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください - 第8章 ルディアンの杞憂
 誰もいない店内は、いつもよりも静かだが、どことなく穏やかに感じるのは、マイラの人柄のせいだろうか。
 戻ってきた彼女を、ルディアンはからかった。
「モテると、恋人選びも慎重になるの!?」
 マイラは、困ったように曖昧に微笑む。その仕種がどことなく不思議で、ルディアンは、悪戯っぽく、聞いた。
「どうして、付き合わないの!? 今の人、若いけれど、公爵でしょ!? 申し分ないじゃない」
 その手の質問には慣れているのか、
「好きな人がいるから」
と、すぐに…至極自然に答えを返されてしまった。
「…誰!?」
 気になって、真面目に聞くが、マイラはコーヒーを煎れながら、
「あなたに答える必要は、ありまっせん。ハイスクールの地学教師くん」
と、愛想がない。
 顔には出さなかったが、複雑な心境に、ルディアンは溜息をついた。
 オレは、この人の周りでは、男として数に入ってないのか!? …と。
 心の中の呟きなど、けしてマイラには聞こえないのに、彼女はなぜか、オレにはつれない。好きだなんて、一度だって、口にはしたことがないのに。
「それって、身分差別!?」
 ちょっと、意地の悪い問いかけをしてみた。
 ルディアンは貴族ですらない、ただの平民だ。貴族の中でも最高位の公爵に比べれば、雲泥の差だろう。マイラの恋人候補にすら上らないのは、仕方がないのだが。
「まさか。尊敬を込めて、言ったのよ」
 若いのに、人に学問を教える仕事に就いてるだなんて、凄いと思うし…と、マイラはキョトンとして、ルディアンを見返しながら、はい、とサービスのホットコーヒーを差し出した。
「今日は暇だから、特別」
 そう言って屈託のない笑顔を向けてはくれるが、どうしたって、さっきの言葉は、立場をわきまえた質問だけにしろ、と暗に言われた気がして、ルディアンは、手慰みしていたマッチ箱を、トンと指で弾いた。
「じゃ、あなたは、もし好きになった人が、公爵よりも身分の低い人だったら、それでも結婚した!?」
 マイラが好きだという男は、もちろん、ルディアンはお目にかかったことがない。名前すらも教えてくれないのだから、知り様がないのだが。もし、群がる男の誘いを、体よく断る為だけのウソなら、鵜呑みにしない方が良い。
 それはつまり、オレにも、チャンスはあるってことだが。
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