メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください -
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発行者:海原 灯
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:メトセラの仲間たち

公開開始日:2013/07/18
最終更新日:---

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メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください - 第8章 ルディアンの杞憂
カランカラン…
 ドアベルを鳴らし、カフェ〈メトセラ〉へとやってきた男がいた。祝日だから、営業なんてしていないはずと思いながらも、通りがかって、まさかの明かりが灯っていることを確認すると、振り出した小雪から身を庇いながら、温もりを求めて、滑り込んだ。
「こんにち…」
 挨拶しようとすると、カウンター越しに、マイラに色とりどりの花束をプレゼントしている男の姿が目に入り、表情が俄かに曇る。
 やっぱり、モテる人なんだな…。
「ありがとう、マーフ公爵」
「では、またこの次の機会に」
 そう言って、残念そうに別れの挨拶を済ませた男は、店に入ってきたばかりで、服にかぶった雪を手で振り払う男の側を、照れ隠しにシルクハットを被り直して顔を隠しながら、外へと出ていった。
「あら、ルディアン。いらっしゃい」
 こちらに気づいて、マイラの方から声をかけてくれる。男は、肩を竦めながら、
「や、こんにちは」
と、やっと、挨拶を完了させ、カウンターの席へと向かった。他に、馴染みの常連客も誰も、店内にはいないところを見ると、自分と同じく、祝日はやっていないと思い込んでいるらしい。
「珍しいね。こんな日に営業してるだなんて」
 いつもはやっていないのに。
 マイラは、うん…と、小さく頷くと、ルディアンの目の前に冷や水の入ったグラスを出しながら、その理由を話した。
「来週、2日続けてお休み取るから、その代わり」
 言って、嬉しそうに顔を綻ばす。その様子から、どこに行くのか予測がついたルディアンは、クスッと笑った。
「あぁ、なるほど。また、山に行くんだ」
「うん」
 嬉しそうに、そう答えた彼女を見て、ルディアンは苦笑した。
「好きだね」
 それから、メニューを考えているルディアンの視線の先で、マイラは、今しがたマーフ公爵からプレゼントされた花束を、もてあまし気味に、カウンターの奥へと置きにいく。
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