メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください -
第7章 賑やかな尾行
自分が死んだのは、今から1年半前。今日は、自分の命日じゃない。ただの、月命日…。それは、月が違う、同じ日付というだけの日。墓地の近くに住んでる物好きしか、墓参りなんてしない。両親の墓にだって、あの女は献花してるはずだわ。世間体を気にしてるのよ。それだけよ。
「…形、だけよ」
成人してからはほとんど会わなくなった姉。その暮らしぶりを知れば知るほどに、復讐したい気持ちが薄らいでいきそうに思えて、デュマは危機感を持ち始めた。
あたしは、姉さんが憎かったはず。こんな、…死んだ身内の墓に献花するぐらいの善行なら、誰だってするわ。
騙されないわよ!
そうして、デュマはキッとアルファロを敵視した。
────────── この男…、もしかして、あたしにサマンドに復讐させるのをやめさせようとしてる訳!?
疑心暗鬼に陥り、そのままデュマは、フッと、姿をかき消してしまった。
「あ、デュマ!?」
名前を呼ぶが、彼女は応えなかった。すでに、どこかへと飛んでいってしまったらしい。不安になって、アルファロに、
「こんなに妹のこと想ってるサマンド、本当に復讐するの?」
と問い質すが、彼は答えてくれなかった。
墓地を出ると、途端に手を離され、ますます互いの心の距離感を感じる始末で、セリエルの気持ちが沈んでいく。
本当に、家族って…、こんな感じなんだろうか…と。
だったら、あたしは…、血が繋がってなくて、良かったのだろうか。
なんだかその先の気持ちを自分でもはっきりさせたくなくて、セリエルは、アルファロから少し離れて、後をついて歩いた。
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