メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください -
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発行者:海原 灯
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:メトセラの仲間たち

公開開始日:2013/07/18
最終更新日:---

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メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください - 第5章 風景画家サマンドとその妹デュマ
 入口にドアがない建物だと思ったら、奥の方に、ちゃんと押し扉があり、サマンドたちは、その向こう側の部屋の中へと消えていった。ガラス越しのドアは、営業中は開放しきっているようだ。受付嬢が1人いるようで、彼女と一言二言、言葉を交わしている。売り物を、目が届かない玄関先に置いておいて、大丈夫だろうかと、多少心配にはなったが…。彼女につくお客は、品が良いのだろうか。多少盗られはしても、お客と絵画との雰囲気を壊したくない、もっと気楽に見てもらいたい、という気遣いの方が、強いのかもしれない。絵画っていうのは、気楽に鑑賞できないのが、ネックだ。ここで気に入ってもらえて、価格でも納得できるものがあるならば、多少人の目があっても、人は、入ってくるだろう。そうして、お客がつく。気に入ってもらえなければ、それまでだから。多少のリスクは取る、という戦法なのか。まぁ、盗られて本当に困る作品は、部屋の中で展示してるのだろうが。玄関の廊下に張り出した作品は、彼女にとってはそれなりの作品でしかないのだろう。それにしたって、見る人間によっては、価値は上下する。
「…」
 歯軋りするデュマの様子を、ジッと静かに見つめているアルファロは、そうしてまた、サマンドの絵を見上げた。
 背伸びせず、自然体の目線で描かれた風景や町並みには、温かみが宿っていた。こんな絵を描く人なのに、妹からは、恨まれているだなんて…。
────────── 皮肉だな…。
「今度、人物画を描いてみてくださいませんか!? あなたなら、良い作品を残せそうだ」
 奥から漏れてくる話し声に、アルファロもデュマも、多少、聞き耳を立ててしまう。それもしょうがないか。話の内容が、内容だけに。
「いえ、私は、人物画は描かないって決めてるので」
 せっかくのリクエストを、サマンドは丁重に断った。
「なぜです!? こんなに温かみのある絵が描けるのに…」
 そういえば、サマンドはなぜか、風景画のみで、人物画は描いていない。
「単に、苦手だからでしょ」
 デュマが、独りごちる。
 下手な絵を披露して、変な評価つけられたら、せっかく売り出してるのに、台無しじゃないの…と、デュマは呆れた様子でルヴィンター社の編集者の顔を見る。とぼけた顔をした、暢気そうな親父だった。
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