メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください -
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発行者:海原 灯
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛
シリーズ:メトセラの仲間たち

公開開始日:2013/07/18
最終更新日:---

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メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください - 第5章 風景画家サマンドとその妹デュマ
 途方に暮れるセリエルを、伯爵が気遣うが、時はすでに遅し、だった。
「いえ…」
 諦めて、引き返し始めたセリエルに別れを告げた伯爵は、しばらくしてフッと消えた。それにも気付かず、セリエルは、まっすぐ…トボトボと、家路を辿る。
 一方、アルファロは、デュマの機嫌を取る為、早朝から、サマンドの素行調査を再開した。昨日は、家に直接行ってみたが、彼女はほとんど寝に帰るのみで、日中は外を出歩いてばかりという。昼になると、近くで開いているというアトリエへと、足を運ぶ。
 アトリエは、街の中心地デイストリートの一角に構えられていた。アトリエ兼個展会場なのか。ドアのない、開放的な入り口から、中へと一歩踏み出すと、壁を這う蔦の合間に、彼女の作品がポツポツと掛けられている。風景画専門なのか、自然の山々や河、印象に残った町並みなどの水彩絵や油絵ばかりが、引き寄せられて見る者を出迎えてくれた。
 その中の1つの絵の前で、アルファロが立ち止まった。見上げる先には、ただの紙ではなく、彼女の目を通したグレッグ山脈が、雄々しく広がっている。
「懐かしい…な、グレッグ山脈そのものだ」
 温かい絵を、描く人だった。
 人物はほとんど描かれていないのに、灯る火や揺れる葉などの、ちょっとした動きの中に、生への躍動感が満ち、ただの静物画といえど、絵の中の対象は、まったく静かではなく…死んでいない。激しさとは違う、静の中の、動。それをあますところなく見つめ続けた者だけに見える、世界。
 幾度となくその景色の中へと足を運んだ者でさえも魅了する、その世界は、今、絵画好きの間で人気が出ているというのも頷ける、納得の腕前だった。
「あら、あなた、マイラの友人の…」
 そこへ、外から帰ってきた、サマンド本人が登場した。
 自分を知っているサマンドに、アルファロが目を丸くする。
「マイラの、知り合いですか!?」
 ええ…と、サマンドは笑顔で頷いた。
「はじめまして、ね。よくメトセラに行くのよ。カウンターで、彼女と話してる所を、この間見かけたわ。といっても、店の外からだけど。急いでいたから、寄れなかったの」
 あまりに印象的で、アルファロの横顔だけを、サマンドはなぜか憶えていた。
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