大根と王妃シリーズ 番外編 『神和ぎの巫女と神堕としの少女』
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発行者:大雪
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/07/21
最終更新日:2010/08/22 21:13

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大根と王妃シリーズ 番外編 『神和ぎの巫女と神堕としの少女』 第5章 土砂崩れと歌

不快な歌

初めて聞いた瞬間から、自分はその歌が酷く耳障りだった

出来るならば歌って欲しくない

いや、たとえそれが無理でも、一体その歌がどこから来ているものか知りたかった

しかし……果竪はキョトンとした目で蒼麗を見ると、困ったように首を傾げた。

「えっと……ごめんなさい、分らないんです」
「へ?」
「だって、この歌はさっき知ったばかりの歌なんです」

果竪は言う。

先ほどどこからか聞こえてきた歌なのだと。

どこから?

だが、それ以上は聞けない事は蒼麗にも分っていた。

「そっか……」
「でも、蒼麗ちゃんが嫌なら、歌うのをやめるね」
「え?!」

少し悲しげに言う果竪に、蒼麗は慌てた。

そ、そんな顔されてしまうと

「い、いや、別に歌ってていいよ」
「でも」
「ただ気になっただけだから。いいの」

なんて馬鹿なのだろうと思ったが、もう遅い。
嬉しそうに微笑む果竪に、蒼麗は自分の不快さは全て我慢する事にした。

別に……大丈夫だよね

何故そんな事を思ったのかは分らないが、とにかく蒼麗は心の中で自然と呟いていた。
そうして、窓に再び視線を向けたとき、視界に光が飛び込んできた。

「あれは……」
「麓にたどり着いたようですよ」

そこは、山道に入る手前にある大きなホテルだった。
結構お客がいるらしく、沢山の車が駐車場に停まっている。
確かに、見た目からしても雰囲気のよさそうなホテルだ。

とはいえ、ここに宿泊の予定はなく、蒼麗達の乗った車はホテルの前を通り過ぎていく。

が、それから三十分後。
再び、蒼麗達の乗った車はこのホテルの前へと戻ってくる。

というのも、この麓の街から隣町に向かう為の道が大幅な土砂崩れによってふさがり通れなくなった挙げ句、他の旅館やホテルが満杯で宿泊出来る場所が、山道入り口手前のホテルしかなかったからである。

「果竪、蒼麗様、急いで下さいなっ」

ホテルから一番遠く離れた駐車場の端に車を停まると、明燐にせかされるままに蒼麗と果竪が傘と荷物を持って走り出す。
そうして、豪雨の中、文字通りホテルに飛び込んだのだった。


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