大根と王妃シリーズ 番外編 『神和ぎの巫女と神堕としの少女』
第1章 始まりの慟哭
美しいと言ってくれた
綺麗だと言ってくれた
それは今まで受け続けたどんな賛辞よりも心地よかった
何時までも共にある事は出来ないけれど
この世の続く限り、そなたが生き続ける限り、私はそなたを守ろう
だが、その約束が果たされる事はなかった
気付けば自分を彩る鮮やかすぎる紅
これは何だ
これは一体何だ
ああ、あの子は何処に行った
返してくれ
返してくれ
長き時を生きてきた私のたった一つの宝物
なのにあいつらは……
「憎い」
次から次へと呪詛の言葉が溢れ出る
誰がこんな事を望んだ
私は何も望んでいない
最初から望んでいない
憎い
憎い
勝手ばかりして私を貶めたばかりか、愛する人さえ奪ったあいつらを
私は決して許さない
己が業を思い知れ
お前達が――となれ
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