鬼畜戦士カイルと少年奴隷フーク
第6章 第二幕 シーン2 プリンス・バイデンの地下室
一人の男の影が横たわるフークを覆う。ぴくりと耳を動かし、目覚めた。巨体の男が立っていた。ビヤ樽のように太く、しかしたるんではいない逞しい肉体の上に、ブルドッグのような醜い頭が乗っていた。二枚刃の大斧を背負っていた。濃い茶色の革製のぴっちりとした服装に身を包んでいる。
プリンス よう、坊や、気持ちよさそうだな。
フーク 誰……?
プリンス・バイデンは太いしわがれ声で、ごく気さくに声をかけたつもりだが、威圧感はどうしようと抑えがたい。
プリンス 誰でもいいじゃないか。坊や、ちょっとわしの人捜しを手伝ってはくれんかね?
フーク ……すいませんけど、僕には仕事が……もう戻らないと。
プリンス そう言うねえ。じゃ、質問だけだ。俺の探しているのは、日本刀を使う金髪の戦士だ。
フークは、巧みな小芝居ができるほどには成長していなかった。思わず視線を泳がせてしまう。
フーク 僕、知らないから……。
プリンス 待てよ。
フークは立ち上がって去ろうとしたが、巨漢のプリンスに無遠慮に腕をつかまれて真剣に恐怖した。
プリンス 俺の探しているのは、評判の悪い横暴な賞金稼ぎでな。今も生きているからには戦いには負けたことのない男だ。何の役に立つのかわからない、坊やくらいの黒髪のチビの奴隷を連れてるってんだ。
フーク 離してよっ!
抵抗するとフークは、つかまれた腕を万力のように締めつけられて悲鳴を上げた。続いて鳩尾に、プリンスにしてみれば軽い一撃がごつい拳で打ち込まれ、フークはたちまち意識を失ってしまったのだ。
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NIGHT
LOUNGE5060