鬼畜戦士カイルと少年奴隷フーク
第6章 第二幕 シーン2 プリンス・バイデンの地下室
†
事後目が覚めると、カイルはまだ熟睡していて、フークの身体に太く逞しい腕が巻きついていた。カイルの身体にはほとんど傷らしい傷は残っていない。若いとはいえそれなりの長さ、賞金稼ぎなどという仕事をして世の中を渡ってきた男としては、希有なことだった。
フークは静かにその腕をほどき、一人で湯を浴びることにした。主人に黙って宿屋に湯をわかせなどとは、奴隷の立場では普通言えないが、フークにはそのあたりの「常識」はまるでなかった。
金貨を片づけ、昨日使われた様々な道具を洗うなどしていると複雑な気分になった。湯を浴びてまだ身体に残る「行為」の余韻を洗い流した。ずいぶんひどいことをされた気がしたのに、途中からは快楽を求めて全てカイルに身を委ねた自分。フークはその先のことを深く考えはしないようだった。これが自分に与えられた身体と心、そして生き方だった。
黒髪をぬぐい、昨日の行為にも関わらず傷一つ残っていないなめらかな肌を拭うと、フークは肩から布をかけ腰で縛るだけの、簡単な奴隷の着衣を身につけた。カイルはまだ起きない。少し時間を潰して、昼飯時には起こそう、と考えたフークは、外に散歩に出た。風が止み冬にしては陽射しが暖かかった。どこかで思い切り陽の光を浴びたい、と思った。町外れの小高い丘を見つけた。草地に横たわると、主人を起こしに戻ることを忘れ、午睡に入ってしまう。フークはどこにでもいる一人の小さな子どもだった。
28
NIGHT
LOUNGE5060