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第2章 謎の男
ドクが椅子に腰掛け言った。
「地上?」
「なんと、そこまで知らんか。」
「すみません、全然記憶が無いんです。」
「いや、よい。
我々人間は5000年前、空に大きな都市を造った。
増え続ける人口と発達してゆく技術、
やがてその空の都市には地上と同じ程の人が住んだ。
1000年前、空の都市の住人が巨大な施設を造った。
その施設は地上の者は入れず、空の住人専用の施設となった。
もちろん、それに反発した地上の住人も居たが、奴らは耳も貸さず、施設の秘密を守り抜いた。
施設が完成して1年が経った頃から空への旅行は極めて困難になった。
なんと空の政府が地上から空へ行くには1人1000億円というというとんでもない金を要求するようになったのだ。
しかも一度空へ行った者は地上への帰還を禁じたのだ、
当然、空と地上の関係は悪くなり、遥か7000メートル上空にある空の都市の情報は一切と言っていい程入って来なかった。
そして何の前ぶれもなく、200年前、
空から奴らは攻めてきた。
政府は軍隊を組み、200年前からずっと戦っている。
そしてここは地上のL52地区。
地下シェルターで我々民間人は暮らしている」
言葉を失った。
「簡単に説明すると、今は戦争中で
我々陸の人間は自分を守るために戦っているということだ」
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