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ジャンル:SF

公開開始日:2013/05/23
最終更新日:2013/05/23 09:54

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Wer 第5章 イザ


「見えたわ。
あそこ、見える?」

エリが遠くを指差しながら言う。

距離にしたらかなりあるが、そこにははっきりと、
巨大な要塞に囲まれた大きな街がある。





「ここがイザ。
陸一番の街、イザよ。」

エリはなんだか得意げに言ってみせた。

「大きい。
すごく大きな街だ」

「私たちの目的は街の中よ。
入りましょ。」

大きな扉を開けると軍服を着た男性が近づいてきた。

「何のようだ?」

少し威圧するような喋り方。

「物資を受け取りにきました。
L52地区、Aシェルターの者です。」

エリはそう言って、ドクにもらったチケットを取り出し、衛兵に見せた。

「そうですか、最近はこの辺もピアーズの連中がうろついているという情報が入ってきています。
女性は特に危険です、くれぐれもお気を付けください。」

「はい。」



エリの横を歩きながら街を見ていた。
この街はエリの言ったとおり、軍の人間しかおらず、
火薬の臭いと煙が立ち込めていた。

でも、なんなんだろう。
少し、懐かしい気持ちになる。
この香り、この景色、この環境。
なんだか不思議だ。
落ち着いてしまう。




「ここが基地よ。」

ウィーン

扉が開きエリは受付まで行った。

「L52地区Aシェルター、エリ・アルファベストです。
弾薬と医療キット、食料を少々いただけませんか。」

チケットを受付嬢に見せながら言う。

「腰を掛けて少々お待ちください」

ロビーの椅子に座ってホッとしていた。

しかしこのロビーよく見ると軍の人間はおらず、椅子に座っている10~20人の人間全員が民間人だった。


「この人たち‥」

「この人たちは私たちと同じ、
近くのシェルターから物資を求めてやってきた人たちよ。
そして横の扉の奥の人たちは親を失ったり、入るシェルターが決まってなかったり、アテの無い人たちが助けを求めて軍に来たの
入るシェルターが決まるまで、軍はこの人たちの面倒を見るの。」



その扉の向こうには、腕や脚のない者、おそらく親を戦争で亡くしたであろう、子供の姿まで見えた。


こんなに胸が苦しいことはない。
戦争とは、あまりに多くの犠牲者を出し、得るものはあまりに少ない。
自由のために武器を取るのであれば、それは数多い他人の自由を奪うという事である。
戦争の愚かさ、それに気がつかない人間は…
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