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第5章 イザ
歩きながら話した。
「これからどこに向かうの?」
「いまからイザという街に行くの」
「イザ?」
「そう。
陸の軍隊基地がある街でね、地上では一番大きな街。
でも街に活気はなく、あるのは軍服を着た恐い男の人と火薬の臭いだけ。
その街の中央に基地があって、物資はそこでもらえるの。」
「イザ‥」
「そして空軍と戦争している陸の軍隊のことを[アスラー軍]、
私たちの敵、空軍のことを[ピアーズ軍]と呼んでるの。」
「そこにピアーズ軍は攻めてこないの?」
「わからない、でもいつ来てもいいようにアスラー軍も万全の準備で防御を固めているわ。
だからピアーズも簡単には手を出せない。」
「そうなんだ。
俺にはちょっと、
難しいや‥」
「大丈夫。
記憶が戻れば全部思い出すよ。
スカイ、大丈夫。」
「うん、ありがとう」
「あと30分程で着くはずだから。
着いたらスカイの記憶も戻るかもしれないね、ふふ」
エリは優しかった。
優しい笑顔を誰にでも惜しみなく振りまいていた。
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