カルテット~少年と獣たち Vol.1
カルテット~少年と獣たち Vol.1
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:カルテット~少年と獣たち

公開開始日:2013/05/23
最終更新日:---

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カルテット~少年と獣たち Vol.1 第2章 1 父 その1
 大はかわいかった。私は忙しい仕事の合い間を縫って京香よりもはるかに彼を溺愛した。おむつを替え、風呂に入れ、土日には公園や動物園に連れだした。何となく私に似てばかりいる彼を、私の真似ばかりする彼を、京香が今一つ愛せなかったのは無理からぬことだ。
 大の愛らしさは、こましゃくれた、あるいは美形候補生の子役などにはないものだった。肌の色こそ私と違って(京香に似て)白かったが、太い眉や、やぼったさ、丸顔に、私の子どもの頃のような昭和の香りがした。仔犬のような、ぬいぐるみのような愛らしさだった。こう言うと、まるで私が幼時、特別かわいかったようだが、それは違う。昭和の時代に昭和の香りなど意味がなく、私は凡庸でやぼったかっただけである。大の愛らしさとて、クラスで一番というわけでもないだろう。その、どこにでもいそうな、それでいて得がたいかわいらしさがいいのだ。

 京香と離縁することになった私は、理不尽にも関連会社に飛ばされ、出世の道をほとんど閉ざされた。一つには、私が大を絶対に手放さなかったことがある。法的には、浮気を繰り返していた京香より、私の方に親権が認められる可能性の方が極めて高かったので、裁判にもならなかったが、跡取りを奪われた京香の父の怒りは大きかった。

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