連続ブログ小説「漂流」
第2章 第一話 プロローグ
「カチャチャカチャチャカチャヤ」「ブーンブーン」
PCのキーボードを叩く音、携帯電話のマナーモードの呼び出し音、
壁約2センチ一枚隔てた左隣と右隣の音がうるさいが、数日も立つと
気にならなくなるものだ。
部屋のタイプもフラットで、一応足を伸ばして横になれるし、第一、
もともと、身体を屈曲して寝ることのほうがもともと癖なので、
眠るスペースは充分に会った。
横になれば昼間の疲労と、少しの酔いですぐに眠れるのが慣れ性になっていたので
気にもならなくなった。
気になるのは、懐具合くらいなものだった。
この生活を続けても、苦にならなかった。
まさか自分がなるとは思わなかった「ネットカフェ難民」、いや、「難民」というよりも
職はあるし、普通に問題なく今のところは会社に勤勉に働いているつもりだったので
「遊民」というか、無宿者、んー職はあるので、何がいい表現なのかわからないけど、
一応さまよってはいるので、「漂流者」にはかわらないのだろうなあ、と思っている。
ただ、5時間パック1800円、10時間3000円は堪えた。毎日なのである。
5時間では足りず、かといって10時間は長い。とりあえず、と思っていたのが
こんなに長く続くとは思っても見なかった。(つづく)
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