お揃い
第1章 ストラップ
宏成の携帯に、どこかで見たようなストラップがついたのは、私の誕生日から三ヶ月後だった。
違うのは宝石の色だけである。これどうしたの、と聞くと、
「お揃いにしようと思って」と、はにかみながらの答えが返ってきた。
そういえば、今月は宏成の誕生日であると思い出して、私は出遅れた気分になった。
相手がしてくれたことと、同じだけのことをしてあげたい。
だから、これは私が買えば美談にまとまったのでは、と思う。
しかし、それを口には出さずに、口惜しさとは別に感じていた喜びを全面に押し出す。
そして、次の日小さな熊のストラップを買ってきた。
熊というよりは、ベアーと言った方がしっくりくる可愛らしいそれを、
誕生石のストラップと同じところにくくりつけた。
無論、宏成のにも、私のにも。
宏成は笑いながらどうしたのと聞く。答えはわかりきってる、そう言いたげに。
あえてそこは追求せずに、「誕生日プレゼント」とだけ答えた。
笑って、顔が近づいて、思わずキスをして、離れて。
笑みは絶やさないまま、そのくまのストラップを向き合わせる。
どちらともなく、このストラップと同じ行動を起こし始めて、
その内宏成の方のくまは私のくまの上に乗って、宏成も私の上に乗っていた。
ベッドには移動せず、そのまま勢いでセックスをした。
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