七福神の殺意
七福神の殺意

発行者:豊道 豊
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2013/04/03
最終更新日:2013/04/03 10:48

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七福神の殺意 第2章 第一章
「それを探すのは、お宅達の仕事でしょうが。」
辺保恭介も、かなり動揺し、いらだってきている。
川波は、そろそろ、ぼろを出す頃だと思っていた。
「だから、こうやって、話を聞いている。犯人を捜すために。」
「もし、話を聞くだけなら、もう少し言い方があるでしょうが。それじゃあ、まるで私が殺したみたいじゃあないですか。」
「違うのか?」
「だから、私は、殺してなんか居ない。それに動機も何も無いでしょうが。」
「動機があるか無いかは、知らない。無かったのか?」
「ふざけるのも、いい加減にしろ。名誉毀損で訴えるぞ。」
元来、気が短い辺保恭介は、とうとう怒鳴り始めた。
「何もそう、怒鳴らなくても聞こえるよ。それとも何か、突っ込まれて、何か具合の悪いところでもあるのか?」
川波は、相変わらず淡々とした言葉で話している。
辺保にはそれがよけいに気に障る。
「お宅らは、私に協力させたいんですか?それとも敵対したいんですか?」
「おいおい、敵対とは又極端な言葉だなあ。お前が、やったのなら敵対する事になるだろうけど、そうで無いのなら、違う。」
「だから、何度も言ってるように、私はやっていない。」
後は水掛け論になった。
辺保恭介が、解放されたのは、朝方だった。
恭介が、調べを受けている間に、連絡を受けた家族が駆けつけていた。
辺保恭介が事情聴取を終わって、取調室を出ると、和服を着た三十前後の女が声をかけてきた。
「あのう・・・・・」
「はい、何でしょう。」
「警察の方に伺ったんですが、貴方が主人の最後を見届けていただいたそうで、ありがとうございます。」
女はそういって、深々と頭を下げた。
「ああ、あの方の奥さんですか、このたびはどうも、とんだ事で・・・。」
恭介は、一応形だけは、挨拶をした。
「あのう・・・つかぬ事をお伺いしますが・・・貴方は、主人とはどのような・・・。」
「はい?ああ、そのことですか、いえ、今も警察にさんざん聞かれたんですけどね。」
「どのような、と言われても困るんですが、たまたま隣同士で釣っていただけなんです。ただ、ご主人が釣った魚の取り込みをお手伝いしまして、まあ、同じ趣味だと言うことで多少話していたんです。その話の途中でご主人があんな事になって・・・。」
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