七福神の殺意
七福神の殺意

発行者:豊道 豊
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2013/04/03
最終更新日:2013/04/03 10:48

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七福神の殺意 第1章 プロローグ
辺保恭介は、しばらく見ていたが、食いかけた弁当を置き、玉網を持って、立ち上がった。
大物を糸を切られずに、手元に寄せてくるのが釣り人の腕になる。
大物になると、糸どころか、竿を折られる。
竿の弾力を利用し、魚の力を上手く逃がしながら、手に持った玉網が届く所まで寄せてくる。
魚釣りは、たいてい一人で行く。
だが、大物の取り込みは一人ではなかなか難しい。
竿を操る人間と、玉網で取り込む人間が必要になる。
釣り場では、近くにいる人間が、玉網を持って手伝う。
それが釣り人の仲間意識を、より強める。
網に魚が入るまでに十五分もかかった。
細い糸で、いかに切られないように、手元に引き寄せ、網に入れるかが、一つの技術であり、魚との死闘であった。
この瞬間が忘れられないために、太公望達は釣りに来るのである。
やっと取り込んで、辺保恭介は、弁当の残りを食い始めた。
隣の男がそばに寄ってきて、
「どうもありがとう、ございました。おかげで滅多にない大物を釣ることができました。」
丁寧に挨拶をしてきた。
「良かったですね。それにしても大きかったなあ。」
辺保が答えると、
「あのう、これ、お礼といっては何ですけど・・・。」
男は恭介に、缶ジュースを二つ差し出して、
「一つどうぞ、」
というと、恭介は、
「あ、これはどうも、ありがとうございます。」
「そんなに気にしなくても良かったんですが。」
「こういうところではお互い様ですから。」
と良いながら、男が差し出したジュースを受け取って、ふたを開けた。
「しかし、お宅も、もう釣り歴は長いんでしょうねえ。実にスムーズな取り込みでしたから。」
男のお世辞に、恭介は、
「あはは、私のは、下手の横好きですよ。」
一応謙遜したが、まんざら悪い気はしなかった。
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