七福神の殺意
七福神の殺意

発行者:豊道 豊
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2013/04/03
最終更新日:2013/04/03 10:48

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七福神の殺意 第8章 第七章
辺保恭介は、夜半にけたたましいサイレンの音で目が覚めた。
山之口町は名前は町だが、寒村であった。
消防車のサイレンは良く響いた。
恭介が、二階の寝室の窓から覗いてみると、町はずれに火の手が上がっていた。
しばらく見ていると、お手伝いのたえが階段を駆け上がってきた。
「奥様、奥様、大変です。真澄さんの、真澄さんの家が・・・・。」
二階の端の方の寝室から千代子がガウンだけを引っかけて走り出した。
辺保恭介は、真澄と聞いてもすぐにはぴんとこなかった。
そう、真澄は、誠次の弟の名前だった。
恭介も、それを思い出し、火が上がっている方向へ走りだした。
真澄の家は、誠次の家からは五百メート程しか離れていなかった。
先に着いた、千代子とたえは、真澄の家族を捜したがそれは野次馬の中、ようとして見つからなかった。
消防の消火活動の甲斐なく火の勢いは収まらず、プロパンガスのボンベに引火したのか、時折大きな爆発音が響いている。
火は家を全焼して鎮火した。
千代子は呆然と立ちつくしていた。
辺保恭介が千代子に近づき声をかけた。
「どなたか、居られましたか?」
千代子は、焼け跡を見つめたまま、黙って首を振った。
鑑識と消防の調査が焼け跡に入った。
焼け跡には、焼死体が累々と転がっていた。
焼死体のいずれも、衣類を着用していた痕跡はなかったのが、異様であった。
異様と言えば、二つの遺体がつながったままであったのも異様であった。
調査の結果、火事の原因は放火で、屋敷内で十人が焼死していた。
出火が階下で、火の周りが早く、勢いが強かったため、誰も逃げられなかったのだ。
焼死体は、男女の区別さえ、判明しにくいほど損傷が激しかった。
消防と警察が、近くにいた、身内を捜した。
千代子と、中村正勝の一家が現場にいた。
千代子と正勝の一家は、焼死体の確認を依頼され遺体確認に立ち会ったが、いずれも判別できる、状態ではなかった。
 
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