一つ目狐の少女が泣いた
一つ目狐の少女が泣いた

発行者:鈴倉 蒼
価格:章別決済
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:一つ目狐

公開開始日:2013/03/21
最終更新日:2013/03/21 23:44

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一つ目狐の少女が泣いた 第2章 気づいた場所は。
そこには印刷技術の整っているらしいきれいなアルファベットが並んでいるのは分かるが、
「読めない…」
正確には、アルファベットが読めないのではなく、そこに書いてある単語が読めないのだ。
もしや知力までボロボロになってしまったのかと嘆こうとし、
「元の知力」とはなんだったのか、と考える。
そうやってしばらく時間をつぶした後、もう一度新聞を覗き込み、一番下に小さく
「Merci Merveille」
と書いてあるのがやっと理解できた。
なんだ仏ご字新聞か、それなら読めなくても無理はないな、
とつぶやいて元の場所に戻そうとして、念のため右上を見てみる。
英字新聞なら、そこに日付があるからだ。
そしてそこに、日付はあった。
それは別に、驚くようなことではない。
驚くべきは、一緒に綴られている年の方だった。
「1…888年?」
知る人ぞ知る年。
恐ろしい、事件のあった年。
そしてその見出しは、僕にも読むことができる言葉が一つ。
「London」。
やはり、あの事件のことだ。
なぜここに仏字新聞が落ちているのかはわからない。
産業革命中のイギリスにフランスが関係あったのかさえ思い出せない。
今、僕の頭に浮かんでいるのは、忌まわしき娼婦の猟奇的殺人事件。
その犯人は未だ誰か分かっていない。
そして、分からないという意味で名づけられた犯人の名は。
切り裂きジャック。
今、今僕は、その事件が起きた場所にいるんだと、
事件が起きた時代にいるんだと、
目に見える何もかもが訴えかけてきていた。
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