一つ目狐の少女が泣いた
一つ目狐の少女が泣いた

発行者:鈴倉 蒼
価格:章別決済
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:一つ目狐

公開開始日:2013/03/21
最終更新日:2013/03/21 23:44

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一つ目狐の少女が泣いた 第4章 夜の闇を切り裂くのは、
だからその音を聞いたとき僕は固まった。
パキン。
かわいた、何かが割れるような音がした。
ここにいてはいけないのだと、本能が告げて、
ここにいてありのままを写してやるのだと、欲望が叫ぶ。
ほんの一瞬、僕はその二つの間で躊躇して、そして体を無理やりに動かして手帳を出した。
今まで書き込んできたページは擦り切れているから、新しいページはすぐに分かる。
ペンを持った右手で、手元を見ることなく左手で持った手帳をめくっていく。
それから恐る恐る、興味津々でその角から、ゆっくりと顔を出して。
そこにあったのは、予想通りの斬死体だった。
喉が切り裂かれ、手足に擦り傷を負い、腹を大きく裂かれていた。
わずかに吐き気を催しながら、その死体にもう一歩近づこうとして、また聞こえた。
パキン、と。
あわてて顔を引っ込めて、手元の手帳の次に書き始めるべき場所を確認しようとした。

それから、手帳の面を見ることなく、世界が暗転した。
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