青天の霹靂2
第1章 事件の幕開け
「だって、あなただけが、本気で恨んでいるんだもん。憎かった?」
ポロポロ涙をこぼす。
「餓死するまでほっとかれて、死んだら、山に埋められて最悪だし。殺したっかったわよ」
「あなたの本当のご両親は? あいつは父親じゃないわね」
女の子は頷く。
「うん。父親は見たことない。お母さんは、男をとっかえひっかえしていた。そうしなきゃ、生きていけないぐらい、弱い人だったから」
「そっか。あなたも大変だったわね。でも、あの男はもう終わったわ。復讐は成功よ。だから、上に行きましょう? みんなを上に連れていってあげよう。だって、みんなあなたに付き合って成仏しなかったんでしょう」
「そう、みんな優しいんだよ。私に付き合ってくれた」
「だから、みんなと一緒に上に行こう。みんなを楽にして上げよう?」
そう、岬が言うと、泣きながら、頷く。
「あなた、泣きたかったのね」
岬はそう言って、抱きしめる。
「約束するわ。あなたの体は絶対私が捜して、きちんと埋葬すると」
「本当?」
嬉しそうに微かに笑う。
「ええ、絶対に。あっ、待って」
岬は力を使い、その子を肉付きよくする。
「可愛くなったし、さぁ、行って」
あの綺麗な女の人に岬は頼む。
「全員が迷子にならないように、連れていってお願い」
「分かったわ。約束する」
岬は全力を使って天国の扉を開ける。
その時、目映い光が降り注ぐ。
「開けたな」
廉が言う。
「開けられるもの何ですね?」
「ああ、多分な。だけど、その代わり岬は、もうヘトヘトだけどな」
「でも、凄いな。そんなことも出来るんだ」
「ああ。どういうメカニズムかは俺には、分からないけど。あいつは誰かに、教わることなく、それを自分で覚えたよ。人から教われるものじゃないからな。自分の力をどっちに曲げればいいかを、いろいろ思考錯誤しながら、覚えていったよ。使いこなせるようになるまでは、大変だったみたいだけどな。一時期、岬は自分の力のせいで、ノイローゼになったくらいだし」
「あれば、便利とただ、簡単に考えていましたが、違うんですね」
「ああ、あったら、あったで大変になるみたいだ」
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