唄う鳥・嘆く竜(前編)
唄う鳥・嘆く竜(前編)
成人向アフィリエイトOK
発行者:行之泉
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ファンタジー
シリーズ:唄う鳥・嘆く竜

公開開始日:2010/07/17
最終更新日:2010/08/08 22:41

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
唄う鳥・嘆く竜(前編) 第11章 【 旅立ちの日 】籠の鳥~カトライン~その1
 女が街を出た後に保護を求めるのであれば、デーゲンハルトに求めよという事らしい。
 クラウスの頭の中でデーゲンハルトの言葉が蘇る。
 何かあったら頼れと言ってくれた修道士と思しき人。
 彼の家ならば、ライムントの手の届かない場所なのではないだろうか。
 修道士になるかどうかの決断は出来ないが、一日だったら匿ってくれる事も可能かも知れない。
「お前の名前は何という?私はカトラインだ。カトライン・リンドナー。皇帝直属の第五騎士団。ブルーローザ隊の隊長をしている」
「皇帝直属…ブルーローザ…蒼い薔薇」
 赤や白など色とりどりの花を咲かせる薔薇だが、蒼い薔薇だけは存在しない。
 この世に存在してはいない薔薇。幻想的な隊の名前だが、その名は国の内外で有名だ。
 クラウスは驚きに目を見開いた。
 彼らは表に出る事はないが、直接的には表に出ない戦闘を司っている集団だ。
 つまりはスパイ、諜報活動や、戦場以外での敵国での破壊活動。情報の攪乱を行っている。
 関わった者は皆不幸な最期を迎えると言われ、死神の庇護を受けた呪われた隊と言われている。
 死にはしないが、生きているとも言えない、存在してはいけない人達。
 その隊長は不死身の力を持つ女神・カトライン。
 彼女の庇護を受け部下の騎士達は死からも神の手から最も遠くにいるという。
「では貴方が、あの不死身の女神、カトラインなのですか」
 それは都市伝説的な噂話に過ぎない。
 だがまことしやかに囁かれるのには、真実と真実を隠すためにわざと流された情報が交わっているのだろう。
 近づくと危ないという点では同じだ。この国における最も危険な側面。触れてはいけない人達。
「まぁ、そうも呼ばれているらしいな。私は不死身でも何でもない。この傷を見たら判るだろう。運がいいならこんな傷も受けないはずだ。単なる死に損ないだよ」
 カトラインは首筋に残る傷を見せ、苦笑した。
 緊張した空気が溶ける。クラウスは彼女との距離が少し狭まった気がした。
「僕の名前はクラウスです」
「ではクラウス。私の唄う鳥。私を楽しませてくれることを期待する」
「かしこまりました。必ずや、ご期待には応えましょう」
 クラウスは応えながら、これで本当に当面の危機を脱したことを感じた。
88
最初 前へ 83848586878889 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ