唄う鳥・嘆く竜(前編)
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発行者:行之泉
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:唄う鳥・嘆く竜

公開開始日:2010/07/17
最終更新日:2010/08/08 22:41

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唄う鳥・嘆く竜(前編) 第11章 【 旅立ちの日 】籠の鳥~カトライン~その1
 自分がしっかりしなければ。意思を強く持ち、この場を乗り越えなければ。
 そう思ってクラウスが女を見つめ返すと、視線の先で女は苦笑した。
「…と、こんなヒドイ目に合ったヤツに言っても信憑性にかけるな。納得も出来ないだろう。だが、傭兵上がりだという事を考えると、任務に忠実ないい奴らなんだ。自分の快楽を追求して、あまり頭はよくないが。ちょっとヤンチャが過ぎる事もあるがな。あれはあれで戦場向きなんだ。裏切りの横行する戦場でも命令に反する事はないのだからな」
 戦場の過酷さを垣間見える言葉。話しには聞いていたが、かなり大変な場所なのだろう。
 自分の受けていた暴力など大した事がない気がして、クラウスは世界の違いをまざまざと感じた。
「ま…街での生活は難しいだろうがな。もっともこの任務が終ったら、あいつ等は次の任務で街を出る。私はお前から話しが聞けたらいいから乱暴なまねはしない。このまま話が終ったら快開放してやる。だから安心しろ」
 ライムントの裏切りの横行する場所でも忠実であったという評価は裏を返すと、裏切りは決して許さないという事だ。任務を優先するとしても、安心出来るのは街を出た後の事。出る前は安心できないという事だ。
…このまま知っている事を話して開放されたらヤバイ。
…ライムントが街を出るまで、彼の手の届かない場所にいなければ。
 クラウスは今度は悪い予感を全面的に信じて考えた。彼の手の届かない場所。彼よりも力の強い人のところ。
 導き出せる答えはひとつだった。
 クラウスは心の命ずるままに口を開いていた。
「お願いがあります。話の交換条件として貴方が滞在する間、私を貴方のお抱え吟遊詩人として雇って下さい」
 クラウスの言葉を聞いて女は楽しそうに笑った。
 呻き過ぎたせいで、咽喉が嗄れている。
 クラウスは何とか声を出した。
 唄を歌うのは無理そうだが、少し話をする位は大丈夫そうだ。
「なるほど。なかなか賢いなお前。ライムントもそんな所を気に入ったのだろう」
 女にそんな風に言われて、クラウスは困惑した。
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