唄う鳥・嘆く竜(前編)
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発行者:行之泉
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:唄う鳥・嘆く竜

公開開始日:2010/07/17
最終更新日:2010/08/08 22:41

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唄う鳥・嘆く竜(前編) 第11章 【 旅立ちの日 】籠の鳥~カトライン~その1
「はい」
「その状態で?」
「この状態の前です」
「こんな場面を見せられると、協力を要請したとは、とても思えないな」
 静かだが底冷えするような声がライムントを責める。ライムントは口を噤み、もう一人の男が声を上げた。
「隊長。コイツは風の峠で兄貴のイロだったヤツでして…」
「ほぉ。風の峠か…成る程。ますます興味深い」
 男の言葉を遮るように、女は声を出した。詰問の矛先が男に移る。
「それでどうやってココまで辿りついたのだ」
「そ…それは…」
「まるで仕事が出来ていないな…」
 女は大きなため息をつくと、言葉を続けた。
「仕方ないな。この件は私が直接調べるとしよう。お前達は遊んでいないで、さっさと彼を解放しろ」
 鋭い声が命じる。
 その声に合わせ、クラウスの口を塞いでいたものが抜かれる。口元から唾液と一緒に血液が流れる。クラウスは溜まった血液ごとベッドのシーツへ吐き出した。やっと普通に息が出来る。
「隊長…」
「服を正して扉の前で見張っていろ」
 もう一人の男が情けない声を出す。不満の意を示したが、女は有無を言わせぬような厳しい声ではっきりと命令した。
 クラウスの内部からズルリと男が抜かれる。
 全て開放されて、クラウスはベッドにうつぶせに倒れこんだ。
 男に抱え上げられていた足にも力が入らず崩れ落ちる。手にも足にも全身に力が入らず、ダラリと伸び身動きが取れない。
 何とか顔だけを動かし、声のした方向に向ける。
 あの暴力から開放されたのだ。この女がどんな人物であったとしても、取り合えずは礼を言うに値する。
 彼女がこのような暴力を命じた可能性もあるが、それはそれでこの場で権力者である事は間違いないから、自分の身の安全を確保するには彼女と話をするしかない。
 もっとも今のクラウスはろくに喋れない状態だったが…
 横を向いたクラウスの前で女がしゃがみこむ。女の顔がクラウスの目に飛び込んできた。
 それは絹糸のような長い金髪を結んだ美しい女性だった。
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