唄う鳥・嘆く竜(前編)
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発行者:行之泉
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:唄う鳥・嘆く竜

公開開始日:2010/07/17
最終更新日:2010/08/08 22:41

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唄う鳥・嘆く竜(前編) 第11章 【 旅立ちの日 】籠の鳥~カトライン~その1

 男達の動きが止まる。
「た…隊長……」
 男達の戸惑った声が重なる。今までとは違う弱々しい声。
 彼等にもこんな声が出せるのだと、クラウスは混濁する思考の中で思った。
 もしかしたら、助かる可能性が出てきたのかも知れない。希望の光がクラウスの心に差す。
 混濁した意識が浮上しはじめる。それと共に、混乱と恐怖で感じなかった全身の痛みが疼きだした。
 殴られた場所。無理やり受け入れさせられた窄まりや切れた口の中。
 まだ男が入ったままなので、その不快感はいいようもない程に強い。
 血液の溜まった口の中に男の中心がねじ込まれているため、溜まった血液を吐き出すのも飲み込むことも出来ない。鉄錆びのような濃厚な血液の不快な匂いと吐き気にクラウスは必死で耐えた。
 目をきつく閉じ、口からは押さえきれない苦しい呻き声だけが漏れる。
「お楽しみも結構だが、仕事はキッチリ済ませているのだろうな」
 鋭い剣のような声が男達を問い正した。
「そ…それは…勿論です」
 ライムントが女の問いに答える。
「そうか。仕事熱心で嬉しいよ。それで、デーゲンハルトの情報は?」
 女の声は冷酷だった。隊長と呼ばれているから、この女は男達の上司だという事が判る。
 男達に乱暴されているクラウスの事など気にかける様子はない。
 彼女は希望の光でもなんでも無かったのだと思った。失望が胸いっぱいに広がる。
 希望を見出した後だけに失望の色は濃い。
 ただ、悪戯に苦しい時間が長びくだけならば。こんな事ならば、苦しくて辛くて何も判らない時にいっそ殺してくれれば良かったのにと思う。耐える事が辛い。早くこの場から開放されたい。それが命を失うことだとしても。
 クラウスは耐え切れない苦痛を味わっていたのだが、そんなクラウスを一顧だにすることなく男達のやりとりは続いていた。
「それが…俺達が踏み込んだ時には、もう旅立った後で。一緒だったコイツも行き先は知らないんです」
「ほぉ。彼に聞いたのか?」
 女が初めてクラウスに興味を示した。
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