唄う鳥・嘆く竜(前編)
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発行者:行之泉
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:唄う鳥・嘆く竜

公開開始日:2010/07/17
最終更新日:2010/08/08 22:41

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唄う鳥・嘆く竜(前編) 第9章 【 旅立ちの日 】 籠の鳥 ~ ライムント ~その1
 目は笑っておらず、表情だけを笑いの形にして張り付かせているだけだ。
…逃げ出すのは無理かも知れない。
 この男のことは判っている。
 頭が切れ残忍なヤツだ。峠にいる間、取り入って一番近くに置いてもらった。
 一番隙のないヤツだったから、逃げる隙をうかがうには彼の動向を観察する事が必要だったからだ。
 牢に繋がれるよりも逃げ出す可能性が高いだろうと踏んで彼のそばにいた。
 それに組織で一番力の強い者に取り入れば、他の者から受ける暴行が減るのではないかと思ったからだ。その判断は正しく、彼のそばにいる間、暴行される数は激減した。
 捕らえられてから数日間は牢に繋がれ代わる代わる何人もの男に殴る蹴るの暴行や性行為を強要された。
 何より男達は獰猛だった。
 間違って殺されるのではないかと思ったのも一度や二度ではない。
 組織全体が残酷でピリピリした緊張に包まれていた。
 手負いの獣達の群れのような集団だった。
 その時は頭領たる男は留守で、はじめて彼に会った時、クラウスは強姦よりも暴行の酷さから生きて逃げることができないのじゃないかと諦めかけていた。
 盗賊団の首領を名乗った彼は獰猛な肉食動物のようで、全く隙がなかった。
 静かに話しをしていても不気味な迫力があった。
 彼に面会を許された時、クラウスは全力で誘惑した。
 従順を誓い、全てを委ねている振りをした。
 彼はクラウスを気に入ったようで、峠の隠れ家にいる間は常にクラウスをそばに置いた。
 彼は好色で絶倫ではあったが、手下のように殴る蹴るの乱暴は働かなかった。
 だが何かあったら、顔色ひとつ変えずに殺されるだろうという予想もついた。
 手下の一人に裏切った者が居て、その制裁をクラウスは目撃したからだ。
 脳裏を度々襲う悪夢。
 その悪夢の形がクラウスの目の前に居て、にたりと笑った。
「よう、クラウス。久しぶりじゃねぇか。こんなところで会うとはな」

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