唄う鳥・嘆く竜(前編)
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発行者:行之泉
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:唄う鳥・嘆く竜

公開開始日:2010/07/17
最終更新日:2010/08/08 22:41

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唄う鳥・嘆く竜(前編) 第9章 【 旅立ちの日 】 籠の鳥 ~ ライムント ~その1
「何だ、感じているのか。淫乱だな」
 男は揶揄したが、クラウスは快感を感じておらず、その中心は力なくうな垂れたままだ。
 男の動きに合わせて息を乱しただけで、そう決め付けるのは自分が単純だと暴露しているのと同じだった。
…この男だったら隙を見て、何とか逃げることが出来る。
 終った後にうたたねでもしてくれるとラッキーだ。
 そうじゃなくてももう周囲は明るい。
 この宿屋から出て移動する時には少しでも隙は出来るだろう。
 早く終ってしまえばいい。
 クラウスは目を閉じ、乱暴に揺さぶられながら逃走ルートを組み立て始めた。
 頭の上でひとまとめにされた両手は、強い力で握られているせいか痛いというよりも痺れて感覚がない。
 脱臼でもしなければいいけれど…少し心配になる。
 男の下から逃げ出した後に必要なのは体力だ。
 少し色目を使えば、どうせヤラレルにしてももう少し楽な体勢にもっていけるかも知れない。
 意を決して、声をかけようと肩越しに後ろを向く。
 男と目が合う。
 潤んだ瞳で眉根を寄せたクラウスが物言いたげな目で見つめると、男の表情が少し和らぐ。
 男が何かを言いかけ口を開いた時、部屋の入り口から怒鳴り声がした。
「何やってんだ。お前」
 知っているはずなど無いのに、突然現れた男性の声をクラウスは聞き覚えがあった。
「兄貴」
 男はさっきまでの獰猛な声とは全く違う弱々しく困ったような声を上げた。男の腰の動きが止まった。
「もう休憩かお前。そりゃ、俺に報告してからにしろってんだ」
「スミマセン。兄貴」
「まあいい。お前はずっと休みなしだったからな。疲れただろう。続けていいぜ」
「スミマセン」
 殊勝な会話に聞えなくもないが、この中ではクラウスの人権は全く無視だ。
 まるで物になったみたいに思う。
 否、単なる性欲処理の道具としか見ていないだろう。
 この場でのクラウスの人権などないどころかマイナスだ。
 勝手にしていいと思われている。
 兄貴と呼ばれた男はソファーにどっかりと座った。
 それを合図に、動きを止めていた男が突然腰を使い始めた。


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