唄う鳥・嘆く竜(前編)
第9章 【 旅立ちの日 】 籠の鳥 ~ ライムント ~その1
クラウスの両手を頭の上でひとまとめにし片手で抑える。クラウスの体に巻いたシーツをまるで破るかの勢いで乱暴に剥いだ。
クラウスの裸が男の前に晒される。
男は空いた手でクラウスの背中から腰、尻までを味わうように撫でた。
「いい肌触りだ。俺も気持ちよくしてもらおうか」
舌なめずりをするような楽しげな声で男はクラウスに囁いた。
この先さらされる暴力に備え、クラウスは静かに目を閉じた。
男はクラウスの双丘を広げると、硬いものをあてた。
何の準備もなく、クラウスの窄まりへ捻じ込む。先端が入るまでは、きつかった。が、入ってしまえば朝方までデーゲンハルトを受け入れて内部は柔らかくなっていたから、そう苦痛なく男を受け入れることが出来た。圧倒的な質量がクラウスの内部に押し入ってくる。
内臓を押し上げられる感覚が気持ち悪い。
奥まで到達すると、勢いよく入り口近くまで引き抜いた。
内部を抉られる感覚に吐き気がする。
鳥肌が立ち、不快感から体に力が入る。
緊張から男を受け入れたクラウスの入り口が窄まる。
背後の男は息を詰めた後、熱い吐息をついた。
「いい尻だ…確かに売りもんになるな」
いいながら男は乱暴に腰を使い始めた。
乱暴に揺さぶられながら、クラウスは緊張で強張る体から力を抜こうとした。ゆっくりと息をして、少しでも思考を平静に戻そうと試みる。
…こんな事なんでもない。この前だって、あんな目にあっても逃げ延びる事が出来たんだ。
自分に言い聞かせる。少し前に風の峠で盗賊団に捕らわれた時には最初の数日何人もの男の相手をさせられた。その間に殴る蹴るの暴行も受けた。それを考えると、今はまだ大したうちには入らない。
男性であれば行為で満足した直後は緊張が緩んで隙が出来易くなる。逃げる為には、まずは男が満足するようにしてやる事だ。嫌ではあるが力が及ばない以上、ヘタに抵抗して腕や足が折られて逃げられなくなるよりもいい。
クラウスは目をギュっと閉じて、男の動きに自分も合わせようとした。腰を蠢かせ。受け入れた男を締め付けたり緩めたりする。
「……っ…んっ…」
男は抉るような腰使いを続け、平静を保とうとしたクラウスの呼吸が乱れる。
下卑た笑いが男の口から漏れた。
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