唄う鳥・嘆く竜(前編)
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発行者:行之泉
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:唄う鳥・嘆く竜

公開開始日:2010/07/17
最終更新日:2010/08/08 22:41

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唄う鳥・嘆く竜(前編) 第8章 【 収穫祭 】 夜に啼く鳥 ~ デーゲンハルト ~ その4
 頭を撫でられている感触が気持ちいい。
 クラウスは心地よさを感じながら、閉じていた目を開けた。
 目の前には穏やかな見守るような微笑を浮かべたデーゲンハルトの姿。その姿を見て、クラウスは自分が達した後、気を失っていた事を知った。
 デーゲンハルトのさらりとした手が頬を撫でた。くすぐったくてクラウスが目を細めると、両手で包まれる。乾いた感触。さっきまで抱き合っていた時には、お互いの汗や体液でぬめっていたから、違和感を感じる。
 そういえば、自分自身もさっきまでの汗の感触がない。シーツの肌触りも滑らかで軽く、まるで新しいシーツの上に横たわっているようだった。多分、クラウスが気を失っている間にお互いの体を拭き、シーツを取り替えてくれたのだろう。
 こんな風に世話を焼かれる経験は男性ではなかったから、新鮮に感じた。
 保護者に見守られているような、安心感と心地よさを感じる。
 クラウスに親しい親戚がいたら、確かにこんな感じがするのかも知れない。
 さっき苦笑交じりに言ったデーゲンハルトの言葉が脳裏に蘇る。
 でもそれでは男性としての魅力が無いと言うも同義で、失礼に当たる。
 そんなことは口に出来ないなと、クラウスは思った。
「大丈夫か…」
「うん。すごかった…とても素敵でした」
「クラウス。君も良かったよ」
 デーゲンハルトの素直な言葉が嬉しい。
 頬を包む手にクラウスは自分の手を重ねた。
「無理させすぎたみたいだな」
 瞳を見つめると、デーゲンハルトが顔を近づけ額にキスをする。謝罪するような声に後悔の色を感じて、クラウスは慌てて首を横に振った。
「そんな事ないです」
「でも、祭りは始まったばかりだし…最初からこんな風に無理させるつもりはなかった」
 約束も出来ない男に付き合うより、他を探すようにしてあげるべきだった。
 そんな悔恨の声が聞える。
 自分の欲望を満たしてくれる相手を探し、思いのまま振舞うのが祭りの夜だというのに。
 デーゲンハルトはクラウスのことを優先的に考えてくれようとしていたのだ。デーゲンハルトを良くしたい。
 そんな気持ちがクラウスの中で湧き上がり、何よりも上回る。
「いいんです。他の相手がいなくても。僕は今日だけでも。僕は貴方としたい。もっとしたい」
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