唄う鳥・嘆く竜(前編)
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発行者:行之泉
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:唄う鳥・嘆く竜

公開開始日:2010/07/17
最終更新日:2010/08/08 22:41

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唄う鳥・嘆く竜(前編) 第4章 【 収穫祭 】酒場にて ~ ウォルフ ~ その3
 勝手だとクラウスは思った。
 自分には相手がいるくせに告白をするなんて。自分には何もないというのに。
 伴侶になりそうな人もいなければ、思いを寄せる人もいない。
 現実の世界にも心の中にも誰もいない。
 今まで感じたことのない孤独感を感じた。
 独りだと強く感じる。
 何だか泣きそうに胸が痛んでクラウスは思いを振り払うように首を振った。
 おれはいい人を見つめて定住の足がかりをしているはずなんだ。
 だから、祭り最後の日になんて、この場所に来れるわけがない。
 心の中でウォルフの誘いを断る。何度も。
 まぁ、相手と一緒にここに来るくらいはいいけど。
 思いついて、胸がスッとする。
 そう相手と仲がいいのを見せつければいいんだ。
 クラウスはウォルフに対する意趣返しを思いついて人の悪い笑顔を浮かべた。
 平常心が戻ってくる。
 クラウスは目の前の御馳走がまだ途中のまま放り出していたことを思い出した。
 景気付けに食べ飲もう。まずはそれからだ。
 クラウスは気を取り直して食事を再開した。
 そして自分の中の変化に気づかない振りをした。
 ウォルフの唇が触れた場所は燃え上がるように熱く、その感覚がいつまでも残っていた事を。
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