唄う鳥・嘆く竜(前編)
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発行者:行之泉
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:唄う鳥・嘆く竜

公開開始日:2010/07/17
最終更新日:2010/08/08 22:41

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唄う鳥・嘆く竜(前編) 第4章 【 収穫祭 】酒場にて ~ ウォルフ ~ その3
「何言い出すんだ。いきなり」
 持っていたフォークを取り落とし、クラウスは声を荒げた。
 冗談にしては性質が悪い。
 でも冗談にしか思えなかった。
 そう思ってウォルフの顔をうかがい見た。
 彼の表情は変わっておらず、真剣そのものだった。
 ウォルフは切なげに目を伏せ、眉間にしわを寄せる。
 声を潜め、クラウスの耳に唇を寄せた。
「急じゃないんだ。クラウス。ずっと…お前のことを想っていた」
 囁く声がクラウスの耳に届く。その声は蜜ように甘かった。
 ウォルフにこんな声が出せるんだとクラウスは驚く。
 今まで知らなかった一面。
 そして知ってしまったら、もう元の関係には戻れない事実。
…ウォルフがおれを好き?
…そんな…ばかな…
 決定的な言葉ではなかったからクラウスの思考は逃避に転じる。
 まだ冗談だという可能性を捨て切れなかった。
 だってそんな筈はない。
 そんな素振り今まで無かったじゃないか。
 でもクラウスの頬は知らず熱くなっていた。
 胸が高鳴り、鼓動が早くなっていく。
 唖然とした表情のまま真っ赤になったクラウスの目の前でウォルフは視線を上げた。
 ウォルフの顔もクラウスと同じく真っ赤だった。
 緊張した表情。
 その顔はさっきより少し若く見える。
 出会った頃のような青年の顔で、真剣にクラウスを見つめる。そして震える声で囁いた。
「…好きだよ。ずっと好きだった」
「……ぇ?……」
 予想の範疇だったというのに、驚きのあまりクラウスは間抜けな反応になった。
「いきなりで悪い。でも今言わないともういえなくなるような気がしたんだ」
 ウォルフは照れた表情をして苦笑いをする。
「こういうと驚くかも知れないけど。お前は俺の初恋の人なんだ。離れている間もずっと想っていたかというと、そうじゃない。気になった人も付き合った人もいる。でもお前に再会する度に、やっぱりお前が好きだって気持ちが蘇ってくるんだ。これって、けっこう重症だと想わないか」
 後半は少しふざけたようにウォルフはしゃべった。
 クラウスもつられて強張った顔から笑みを漏らす。
 告白を聞いて正直くすぐったかった。
 でも悪くない気分だ。
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