唄う鳥・嘆く竜(前編)
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発行者:行之泉
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:唄う鳥・嘆く竜

公開開始日:2010/07/17
最終更新日:2010/08/08 22:41

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唄う鳥・嘆く竜(前編) 第3章 【 収穫祭 】酒場にて ~ ウォルフ ~ その2
 ウォルフは不安そうなクラウスに明るい笑顔で笑いかけると、慰撫するように肩を撫でた。
「そっか。必要ならお前は俺に頼まなくても、ちゃんとした物を手に入れる事が出来るもんな」
 クラウスはがっくりと肩を落として呟いた。
 真剣に考えていた自分がバカみたいだ。
 ちょっと考えると判りそうなものなのに、気がつかない自分は相当なマヌケだ。
 自己嫌悪に陥りそうになる。そんなクラウスの前で、ウォルフは護符を大切そうに手のひらに乗せると、手の中の護符を嬉しそうに優しい瞳で見つめた。
「お前から物を受け取るのは初めてだな」
「あげた訳じゃないぜ」
「判っている。でも何となく嬉しくて…な」
 しみじみと言われると何とも言えない気分になる。その言葉はウォルフがクラウスの手から何か貰いたくて護符を依頼したみたいだ。
 護符に意味があるのではなくて、クラウスからという事に意味があるようで。
クラウスはその言葉の中に艶っぽい意味を感じて、ドキッとした。
「虎目石か」
 ウォルフは護符を見つめると配された石の名前を呟いた。
「そう。栄光と繁栄と勝利を引き寄せる石。自らが持ち信じた力を発揮して、邪悪をはね退ける」
「黄色じゃなくて、赤っぽい茶色なんだな」
 ウォルフは物珍しげな視線で観察すると、呟く。
「珍しい」
 お守りになる石としては一般的でごくごく普通に使われる虎目石だが、ほんの少しだけでも違ったものにしたかった。
赤い虎目石も割りと一般的だが、どちらかと言うと女性の方に人気がある石から、ウォルフにはあまり馴染みがないだろうという思惑が当たった。
 現金なものでウォルフの反応を見て、クラウスの機嫌は途端に良くなった。
「まー。そこそこにな」
 笑顔を顔いっぱいに浮かべてクラウスは答えた。説明する舌も滑らかになる。
「火の魔法を使って加工したらこんな色になるんだ。赤い石には愛情運もよくなるから、今日渡せてちょうど良かった」
「愛情運?」
「ああ。強く…真剣に想えば、その想いは通じるらしいぜ。一説には運命の人を引き寄せてくれるらしい。その場合時間がかかる事もあるらしいけど…でも。ま。恋愛成功率が上がるって事だ。そう考えると、今日渡せて本当に良かったよ。な。今日こそが恋愛運を発揮する日だろう?」
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