唄う鳥・嘆く竜(前編)
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発行者:行之泉
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:唄う鳥・嘆く竜

公開開始日:2010/07/17
最終更新日:2010/08/08 22:41

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唄う鳥・嘆く竜(前編) 第1章 【 収穫祭 】 プロローグ
 秋の終わり。
 農村の収穫が終った頃。
 暦の上で年末になるこの時期に収穫祭が行われる。
 冬支度を前に街で祭りと一緒に大きな市場が開かれ、各地から人が集う。
 怪しい呪い師やどんな欲望でも叶える魔法使いもやってくる。
 街では人が溢れ、物が飛び交う。
 普段は滅多にお目にはかからない珍しい食べ物も並べられる。
 ただそれを手にするには、普段使う金の十倍や百倍の支払いをしなければならないが。
 ともかく、金さえあれば。
 いや無くても、金のある人に取り入る才覚さえあれば楽しめる。
 裏で何が行われているのかは計り知れないが、目に見えるものは。
 人が浮かれ歌い踊り、食べ呑み騒ぐだけ。
 無礼講の乱痴気騒ぎ。
 嵐のような七日間だ。
 巻き込まれたくない者は街を出るか屋敷の戸を堅く閉じ、屋敷から一歩も出ないで嵐の過ぎ去るのを待つ。
 だけど。
 この日々を待ち望んでいる者達も大勢いる。
 クラウスのような天蓋孤独の人々。
 普段には交わらないような身分の人と知り合う可能性があるからだ。
 仕事にあぶれたものは新しい雇い主を探すのに絶好のチャンスだ。
 どこの酒場に行っても昼間っから人で溢れている。
 その中で羽振りのいい人を見つけ、上手く取り入ることが出来たらいいのだ。
 気に入られれば、少なくとも祭りの間はいい思いが出来る。
 旨い物を食べ、屋根のある場所で寝ることが出来る。
 堅い板のベッドではなくて、柔らかい布団で寝ることが出来るかも知れない。
 ひとときの恋を拾うこともある。
 各地をさすらう生活は多分生まれた時から。
 吟遊詩人として唄うようになって10年。
 最後の家族と死に別れ、一人で旅するようになって5年。
 クラウスは一人旅に別れを告げたくて街を目指す。
 出来れば、この仕事ともおさらばしたいと考えている。
 もう何年も前から、そう思い続けている。
 定住できない不安定さ。
 収入が読めない不安定さ。
 独りで旅を続ける寂しさ。
 どれを取っても辞める理由になる。
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