唄う鳥・嘆く竜(前編)
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発行者:行之泉
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:唄う鳥・嘆く竜

公開開始日:2010/07/17
最終更新日:2010/08/08 22:41

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唄う鳥・嘆く竜(前編) 第3章 【 収穫祭 】酒場にて ~ ウォルフ ~ その2
 ウォルフの笑顔に誘われるように、クラウスは小さな塊を慎重におそるおそるといった様子で、テーブルの上に置くと口を開く。
「約束の護符」
 それは細かく編まれ独特の文様を浮かび上がらせた栗色の紐の輪だった。
 子供か細い腕をした女性ならば、腕輪に出来そうな物だ。
 紐の間には艶やかな輝きを帯びた赤褐色の石が配されている。
 石の中には細い絹糸のような光が浮かび上がり、その輝きは猛獣の瞳の虹彩のようにも見える。
 一見すると美しい工芸品にも、貴婦人の装飾品にも見える品だった。
 作ったのはクラウスだ。
 物の出来は自信はある。
 今まで作った品の中では逸品だ。
 だが、目の肥えたウォルフにこれがどう写るかは、また違う問題だ。
 何しろ自分はその専門ではないのだから。
 だから、テーブルに置いた仕草が何となく自信の無さげな様子になってしまったのは仕方ない。
 それに、これに使われている石も、その石の持つ力は万人に認められた物だが、そんなに珍しいものでも高価なものでもない。
 実際、街に入って一般人向けの市場の出店で購入した安いものだ。
 本当はもっと良いものを購いたかったが、持ち合わせがあまりなかったから仕方なくこれに決めた。
 購入した石は全体的にくすんでおり、魔力も小さくそのまま使うにははばかられた。
 だから、手近にある道具と覚えているあらん限りの呪いを使って、艶やかな光沢と石の持つ本来の魔力が出るように加工した。
 最初だけは占い師に学んだが、その後は市場や店などの品物を見て自己流にアレンジしてた。  
 旅で知り合い旅先で別れて次はいつ会うとも知れぬ客ならその出来までは気にしないが、永く付き合ってきた友の目にどう写るのか、それはとても気になった。
「一応それらしくは出来ていると思うけど・・・ちょっと不安。お前は任せるって言ってくれたけど。相応しい物を考えるの大変だったんだぞ。おれは別にまじないをキチンと学んだ訳じゃないんだから」
 気のおけない友人だから、素直な気持ちで複雑な気持ちを吐露した。
「まぁ。そんな顔するな。専門の人じゃなくて、俺の事を良く知っているお前だから頼んだんだ。そんなに考え込まなくても良かったんだぜ」
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