俺様王子の恋愛街道
第4章 第三章、俺様王子と光の君
ウォーレンは驚いて声すら出なかった。これも魔法なのかという考えがちらりと頭を掠めたが、感情がついていかなかった。
大皿がテーブルに置かれる瞬間、魔法の正体が現れた。人間の頭、ひとつ分くらいの大きさの羽の生えたエルフが、皿をゆっくりとテーブルに降ろしたのだ。背中から生える二対の羽は、薄い水色で向こう側が透ける程だ。
髪の毛はシーニィやロキーナと同じく金色で、どちらかというと白光のように光を反射している。皆、一様に髪の毛を縛っていたが、性別があるのか、花を頭に差してドレスを着ている者と、裾の窄んだパンツを履いている者がいる。ウォーレンがじっと見つめていると、皿を置き終わった彼らは、メイヴィットの周りをぐるぐる飛び始めた。
「妖精じゃ。妾の為にとてもよく働いてくれる。魔法の欠片が生み出した生き物じゃよ」
メイヴィットがふわり、と手を持ち上げると、妖精たちはキスをして、大広間から出て行った。
「喋らないんだな」
「妖精は話すことを必要としないのでな。でも唄は歌ってくれるぞ」
「妖精が歌うのはメイヴィット様の為だけだ。お前なんかには断じて聞かせてやらん」
テーブルの端で息巻くロキーナに、シーニィが生温い視線を投げ打った。
「それを決めるのはメイヴィット様でしょ、ロキーナ。ああ、ウォーレン、妖精の行動権は全てメイヴィット様が握っているのよ」
ウォーレンは頷いた。
「メイヴィット殿は愛されているんだな」
ウォーレンの発言に、シーニィが意味ありげにロキーナを見てから、笑った。
「ここにも熱心な崇拝者がいるわよん。この森自体がメイヴィット様の命そのものなの。森の主だからこそ、メイヴィット様は大地の声を聴き、配慮し、時には囁きを返すのよ。アタシたちはそれを補佐するのが役目」
42