黄昏探偵【死神と呼ばれた男の真実】
第3章 探偵の仕事ってなんでしょうか?
正直、こんな所に一人残されることの方がかなり怖い。
故に残るなどとゆう選択肢は自然消滅したのである。かくして、イカツイ執事に連れられ(いや、連れられてというか、やたら移動速度の早い執事を必死になって追いかけている感じだった。私の場合。快動さんは余裕で着いていっているみたいだけど?)ちょっとしたホールのような部屋に案内されたのである。
「はあ、はあ‥‥、やたらと歩くの‥早いですよね?」
「そうかな? でも朝比奈くん、ちゃんと着いてこれているから大丈夫だね。もしついてこれなければ、死‥‥いや、シュークリームとか甘いもので補うのが一番だよ。エネルギーの消費激しいから?」
(あれ!!? 今、誤魔化したよ!! 快動さん絶対に誤魔化したよ!!??)
「所長、今、死ぬって言おうとしませんでした!!?」
「ナニヲ言ッテイルノカナ朝比奈クン? 僕ハ甘イ物ガ大好キナダケダヨ?」
(何か、この人~目茶苦茶分かりやすい嘘吐いてますけど~~~~~~~~~~!!!!!!!!?)
明らかに怒りしか沸いて来ないような状況。だがしかし私には、そんな怒りを吐き出す暇すら与えられなかった。
何故ならこの状況の中、依頼主【クライアント】が現れたからである。まったく、悪い事してる奴は空想の世界でもリアルでも最悪のタイミングで現れるような生体センサーでも備えているのだろうか?。
私はまだ会う前から勝手に依頼主にそんな格付けをすると眼鏡越しに、今回の依頼主を凝視した。やや、恨みや怒りを込めて。
さぞかし、悪人面であろうとの期待感があったが、良い意味でその期待感は見事に裏切られたのである。
(な‥!? そ‥そんな! 悪人面どころか優男のジェントルマン【紳士風】ですと!!?)
それは悪印象から入った私にとって意外過ぎるものであった。どう見ても人の良さそうな四十代前半の気の良さそうなイケ面紳士としか思えない。
(つまり、今時の流行は悪役すらイケ面って事なのかしら?)
そんな要領を得ない状況に私は頭を悩ませつつ、依頼主の顔を呆然と見詰めていると、その依頼主たる彼が不意に言葉を発したのである。
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