Johann,-ヨハン-
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発行者:KEI
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2013/01/25
最終更新日:2013/01/25 20:09

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Johann,-ヨハン- 第1章 遭遇
 ―パチッ
 焚き火の爆ぜる音。瞼の裏でぼんやりと揺れる陽炎。
 ――これは夢だ。子供の頃、図書館の書架に忍び込んだ時の記憶。
 禁書を盗み見ようなんてつもりはなかった。ただ好奇心に負けて、図書館が閉まるまで隠れて、書架に入った。
 そこで見たものは、恐ろしい記憶として今もはっきり残っている。十字軍―魔族討伐軍―が、魔族を虐殺した記録。学校で教わった知識とは全然違う、見てはならない記録だった。十字軍の遠征は、ヒューマンの存続を賭けた戦いではなく、侵略戦争だったのではないか―?だが、そんなことを口にしようものなら、反逆罪で死罪だ。僕―アンリ・ノルベール―は、その恐ろしい疑問をずっと抱えたまま生きてきた。
 ―パチッ
 場面が変わる。
 暗闇に閃く鈍い光。血溜まりの中倒れる警備兵。闇に浮かぶ2つの紅い瞳。
 ―パチッ
 強烈な腐敗臭。首から迸る血飛沫。―骸骨の赤く光る眼窩。
 「うわぁぁあ!」
 跳ね起きると、辺りは真っ暗で、どうやら森の中らしい。直ぐ横で焚き火が揺れている。
 悪夢を見たせいで、動悸が速い。べとつく汗を拭う。
 ――どうしてこんな所に‥?
 「目が覚めたか。」
 声がした方向――焚き火の向こうに視線をやる。
 「お前は‥昨日の‥!」
 視線の先には、夜色のターバンとマントを羽織った男が座っている。肌は青白く頬はこけており、病的な印象を受けるが、薄闇を背景に深紅の双眸が浮かび、陽炎が揺らめくたびに怪しく瞬く。僕は男の姿に悪魔を連想した。
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