Johann,-ヨハン-
第2章 森の精霊
「お願い、助けて!!」
半ば強制的に魔族の男――ヨハネス・ゲオルクに、聖戦の真相を暴く協力をさせられることになり、とにかく爆撃地から離れようとしていた矢先、茂みからクリーチャーが飛び出してきた。
「お願い! ガルーザを助けて!」
豹型クリーチャーの雌のようだ。身長は僕よりも頭半分ほど高く、ヨハネスと同じくらいだ。全身が淡黄色の体毛に覆われており、黒色の斑点が繋がった帯状の文様が浮かんでいる。野生的に引き締まった肢体に軽鎧を身に着け、腰に剣を下げている。戦士だろうか。
よく見ると、身体中傷だらけで所々出血している。
「落ち着いて下さい! どうしたんですか?」 僕は彼女に駆け寄る。
「爆撃にあってガルーザが怪我を‥。わたしはどうなってもいいから、彼を助けてあげて!」
彼女はネコ科特有の切れ長な瞳を僕に向け、懸命に訴える。
ヨハネスは彼女を探るように観察する。 「さっきの爆撃か。そいつはどこにいるんだ?」
「少し歩いたところに。重傷で動けないから、わたしが助けを呼びに‥」
「案内してくれ」
彼女に続いて茂みを200メートル程進むと、身長は2メートル近くあるだろうか、かなり大型の豹型クリーチャーが血だらけで倒れていた。
ヨハネスが彼の傍にしゃがみ、怪我の程度を確認する。
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