孤島の垂涎
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発行者:千華
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2013/02/21
最終更新日:2013/03/02 21:44

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孤島の垂涎 第1章 悲劇のはじまりと終わり。
にしてもこの手紙、返金手続きの割には随分と分厚い。
A4サイズの封筒は、隙間なくギッチリと詰めこまれているようでなかなか重い。
どうやらパンフレットのようなものも入っているようだ。
次の旅行の検討をして欲しいというのなら、
とんだ無神経な会社だと怒っていただろう。

丁寧に封を切った葵は、いつの間にか隣に座っている妹にも見えるよう、
中身を全て取り出す。
畳の上にはまとめていない紙がバサバサと落ちて行き、
予想通り一冊のパンフレットも出てきた。

「孤島で過ごす××日の旅? このバツがついてるのは、何なのかな?」
「えぇ? やっぱり旅行のパンフレットなの? 紫、ちょっと貸して」

ゆかり。
そう口から出て、葵はハッとする。
随分と妹の名前を呼んでいなかった気がするが、いつ以来だろうか。
彼女は特に気にしていないようだったが、紫と開く口の形が懐かしい。

お姉ちゃんがなんとかする。
お姉ちゃんに任せて。
お姉ちゃんがやるから。
こんな事ばかり口走っていた気がして、
彼女の意見を全然聞こうとしなかったのではないか。
何か言いたそうにしている紫の態度。
両親が亡くなってから、何度も何度も目にしていた気がする。
だがあまりにも忙しく、二人で話す機会を逃していたかもしれない。
今もこうやって、紫からパンフレットを取り上げて自分で読み上げようとしている。
妹だってもう18だ。いつまでも子供ではない。

「…………あ」
 
18歳。

そうだ。彼女は先月、18になっていた。
いつもどんなプレゼントを用意しようか考えていたあの、ワクワクする毎日。
事情が事情だっから仕方ないかもしれないが、
葵の中でようやく、現実に引き戻される感覚が生まれる。

本来の自分は、こんなにネガティブじゃない。
もっと大声で笑い、妹に呆れられながらも慕われる、そんな人間だった。
悲しいのは紫も同じなのに、一人で悲観し、一人で背負おうとしてきた。
馬鹿だ、と葵は強く自分を責めて、取り上げようとしたパンフレットを彼女に戻す。
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