孤島の垂涎
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発行者:千華
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2013/02/21
最終更新日:2013/03/02 21:44

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孤島の垂涎 第1章 悲劇のはじまりと終わり。
新しい仕事先が経営不振となり、
葵の採用を見送ると言う通達が送られてきたのだ。

訴える事も考えたが、両親の事故死からまだ数カ月しか経っておらず、
体力も精神も限界だった。
頼れる親戚もいない中、葵から笑顔が消え、
家庭も一気に暗くなってしまった。
大人しい妹は懸命に支えようとしてくれるが、
食事もとれなくなってしまい、いよいよ倒れてしまうのではと
心配する日々に突入していた。
 

しかし、いつまでも屍のように生気をなくした日々が続くわけでもない。


それは両親が亡くなって、3ヶ月目に入った頃だった。


「お姉ちゃん。郵便受けに何か入ってたけど」
「どっち宛?」
「お姉ちゃん、だよ。旅行会社からみたい」
夏の日差しがきつくなった頃、葵宛の封書が届いた。
今まで届く手紙や封書は、高確率で父親か母親宛だったので、葵は少し驚く。
いまも存命だと勘違いして送られる両親宛の手紙は、
名前を見るだけでも辛い。
残った遺産も、決して少ない訳ではないが、
それでも質素に暮らしていく必要があるのは確かだ。
 
そんな、八方ふさがりだった葵の手元に覚えのないブルーの封筒が手渡された。
旅行会社と言う事は、心当たりは一つしかない。
皆にプレゼントするはずだった予約は急きょキャンセルとなり、
代金も返ってきた。だから中身は返金手続きの書類で、
あとは適当にお悔やみの言葉でもつらつらと述べられているのが想像できる。
 
開けたくない。
何十倍払ってもいいから、4人で行きたかった。
開ければ亡くなった事実をまた突きつけられそうで、
ずっとしまっておきたい気持ちでいっぱいになる。
悲しみに耐えられる量のカップは、毎日溢れかえっていて、
未だに減ってくれない。
いつまでも立ち止まっていられないのも分かるが、
きっかけがないと永久に足踏みしてしまう。
 
「…………よし」
きっかけがない。
ならばこの封書を切ることできっかけにしてみてはどうだろうか。
今までにない前向きな思考に、葵は自分の手をグッと握りしめる。
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